仰臥あおむ)” の例文
父親の牛九郎の方は仰臥あおむけしたまま、禿上った前額部の眉の上を横筋違よこすじかいに耳の近くまでザックリと割られて、にわとりの内臓みたような脳漿のうみそがハミ出している。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
漸々だん/″\探り寄って春部が仰臥あおむけざまに寝ている鼻の上へ斯う手を当てゝ寝息を伺いました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これさえ引いておけば、田圃たんぼは近くっても虫の飛込む悩みもないので、窓も一つ開けたまま、小松原は、昼間はその上へ患者を仰臥あおむかせて、内の国手せんせいが聴診器を当てようという、寝台ねだいの上。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)