“宣（の）”の例文｜ふりがな文庫

それはヨハネという人がヨルダン川のほとりに現われ、罪の赦（ゆるし）を得さする悔い改めのバプテスマを宣（の）べ伝えた事件であった。

キリスト教入門 (新字新仮名) ／矢内原忠雄(著)

我が母は何も宣（の）らさね、子の我（われ）も何もきこえね、かかる日のかかる春べに、うつつなく遊ぶ子供を見てあれば涙しながる。

観相の秋 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

ここより別るるものは勇蔵が前に来て慇懃（いんぎん）にその無事と好運とを祈り、中には涙に溢（あふ）れて、再び逢（あ）い見ぬもののごとく悲しき別れを宣（の）ぶるもありき

空家 (新字新仮名) ／宮崎湖処子(著)

この女の肉体から、あらゆるものが去りつゝあるのだと宣（の）べて、死神は、勝利の舞ひを、舞つてゐるやうでもあつた。

浮雲 (新字旧仮名) ／林芙美子(著)

との勿体ない詔旨が宣（の）らせ給うてあった。これを拝し、泉下の信長は、望外の光栄と身の本分に泣いたであろう。

新書太閤記：08 第八分冊 (新字新仮名) ／吉川英治(著)

私達はただ言葉ばかりではなく、物を通してじかにこの真理を宣（の）べ伝えるために「民藝館」を興しました。

美の国と民芸 (新字新仮名) ／柳宗悦(著)

この所証を幾分にても世に宣（の）べ伝ふるは、吾が貴き一分の使命の存する所にあらずや。げにや、悟といひ見証といふもの、所詮（しよせん）は言説の伝へ得べき限りにあらざるべし。

予が見神の実験 (新字旧仮名) ／綱島梁川(著)

親鸞がみずからを極重悪人と認めたのもこの素質あればこそである。自分の心を悪のみと宣（の）べるのは、善のみと宣べるのと同じく一種のヒポクリシーである。偽悪である。

愛と認識との出発 (新字新仮名) ／倉田百三(著)

道や教えを宣（の）べ伝えるという事は、取りようではたいへん穏やかな仕事のように思われる。しかし同じ事でもプロパガンダというとなんだか少し穏やかでないような気持ちがする。

神田を散歩して (新字新仮名) ／寺田寅彦(著)

東に覇府（はふ）ありてより幾百年、唯東へ東へと代々（よよ）の帝（みかど）父祖（ふそ）の帝の念じ玉ひし東征の矢竹心（やたけごころ）を心として、白羽二重に緋（ひ）の袴（はかま）、五歳（いつつ）六歳（むつつ）の御遊（ぎよいう）にも、侍女（つかへをみな）を馬にして、東下（あづまくだ）りと宣（の）らしつゝ

みみずのたはこと (新字新仮名) ／徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)

彼は白壁（しらかべ）王を立て、左大臣永手、兄の参議良継と謀議して、宣命使をかたらひ、大市を立てる宣命に代へて、白壁王を立てる旨を宣（の）らせ、先帝の御遺詔であると勝手な文句をつけたさせた。

道鏡 (新字旧仮名) ／坂口安吾(著)

われらの奏問（さうもん）し奉る言葉と同じ言葉もてわれらにも、宣（の）らせ給ふわが神よ。

頌歌 (旧字旧仮名) ／ポール・クローデル(著)

託宣の律語を宣（の）るものとの、二通りの想像を持つてゐられる様に見える。

琉球の宗教 (新字旧仮名) ／折口信夫(著)

母上の宣（の）たまひけるやう。かく惡劇（いたづら）せば、好きをぢ御の許にやるべし。さらば汝も磴（いしだん）の上に坐して、をぢと共に袖乞するならむ、歌をうたひて「バヨツコ」をめぐまるゝを待つならむとのたまふ。

即興詩人 (旧字旧仮名) ／ハンス・クリスチャン・アンデルセン(著)

兵衛お味方仕ると宣（の）らば、鹿ヶ瀬、蕪坂（かぶらざか）、湯浅、阿瀬川、小原、芋瀬、中津川、吉野十八郷の荘司ばら、こぞってお味方仕るか、すくなくも表立って指さす者は、一人もあるべからず存ぜられまする

あさひの鎧 (新字新仮名) ／国枝史郎(著)

宣（の）る、アカイオイ、高きもの、又低きもの一齊に

イーリアス：03 イーリアス (旧字旧仮名) ／ホーマー(著)

（来よと宣（の）らせる佐藤春夫氏に厚く謝しつつ）

桜 (新字旧仮名) ／岡本かの子(著)

逍遙子はまた折衷之助をして宣（の）らすらく。

柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) ／森鴎外(著)

その神宣（の）らさく。皆に代りて思ひ量（はか）る

ファウスト (新字新仮名) ／ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(著)

丹精を抽（ぬきん）でて祝詞（のりと）を宣（の）りゐたり。

金色夜叉 (新字旧仮名) ／尾崎紅葉(著)

焔の獅子座（ししざ）火に宣（の）らす

有明集 (旧字旧仮名) ／蒲原有明(著)

我が母は何も宣（の）らさね、子の我（われ）も何もきこえね、かかる日のかかる春べにうつつなく遊ぶ子供を見てあれば涙しながる。

雀の卵 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

帝は、近臣に勅して、龍床の上に座を与え、孔明の背へほそい御手をのばして、こう宣（の）らせられた。

三国志：10 出師の巻 (新字新仮名) ／吉川英治(著)

しかし自分は聖書の言によってようやく彼の誘惑を退け、心の悔い改めと霊の新生による神の国の福音を宣（の）べ伝える道に進み入ったのであった（マタイ四の一—一一）。

イエス伝：マルコ伝による (新字新仮名) ／矢内原忠雄(著)

あはれ、上天も見そなはせ、予は今この一個の貴き音づれを世に宣（の）べんが為めに此処（こゝ）に立てり。

予が見神の実験 (新字旧仮名) ／綱島梁川(著)

朝顔の花一ぱいにたまる露の朝涼（ちょうりょう）、岐阜（ぎふ）提灯（ちょうちん）の火も消えがちの風の晩冷（ばんれい）、涼しさを声にした様な蜩（ひぐらし）に朝涼（あさすず）夕涼（ゆうすず）を宣（の）らして、日間（ひるま）は草木も人もぐったりと凋（しお）るゝ程の暑さ、昼夜の懸隔（けんかく）する程

みみずのたはこと (新字新仮名) ／徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)

今年八月、当麻の氏人に縁深いお方が、めでたく世にお上りなされた時こそ、再己（おの）が世に来たと、ほくそ笑みをして居た——が、氏の神祭りにも、語部を請（しやう）じて神語りを宣（の）べさせようともしなかつた。

死者の書：――初稿版―― (新字旧仮名) ／折口信夫(著)

陣頭に馬を立てゝわれに宣（の）らせて

柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) ／森鴎外(著)

死人に口なし、殺してさえしまえば、世間はわれわれの宣（の）ぶる言を信じて聞くしかないのですから

宮本武蔵：05 風の巻 (新字新仮名) ／吉川英治(著)

祖先（みおや）のため、その子らがため、わけても子らの子がため、ただ唱へ南無妙法蓮華經、いとほしと口には宣（の）らね、嚴（いつ）かしさまたただならね、ひたぶるのこの親ごころ、その子我

白南風 (旧字旧仮名) ／北原白秋(著)

いきなりバプテスマのヨハネが出て罪の赦しを得さする悔い改めのバプテスマを宣（の）べ伝え、イエスの洗礼、荒野（あらの）の試み、そこから帰ってヨハネが捕われた後伝道を開始されたと、簡潔に

イエス伝：マルコ伝による (新字新仮名) ／矢内原忠雄(著)

既定方針（きていほうしん）の大本と、織田家の不敗必勝の態勢（たいせい）だけを宣（の）べておけば、今夜のところはまずよかろうくらいに、秀吉は、宴後の議席でもあるので軽く考えて臨んでいたのである。

黒田如水 (新字新仮名) ／吉川英治(著)

祖先（みおや）のため、その子らがため、わけても子らの子がため、ただ唱へ南無妙法蓮華経、いとほしと口には宣（の）らね、厳（いつ）かしさまたただならね、ひたぶるのこの親ごころ、その子我

白南風 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

イエスは何らの屈託なく、きわめて自由に神の国の福音を宣（の）べ、またこの福音を受けうるように人を助け給うたのであります。彼の言（ことば）にも業（わざ）にも、ガリラヤの湖を渡る春風の自然さがあった。

イエス伝：マルコ伝による (新字新仮名) ／矢内原忠雄(著)

あなあはれ、雀子よとて雀子を撫でさすり、掻い撫でさすり、偽りなせそ、むさぼりそよ、おのづからなれ、正しく、直（なほ）く常童（とこわらべ）にて、天地（あめつち）の神ごころにも通へとぞ、悲しかれよと宣（の）りましき。

雀の卵 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

これに対しイエスの教えはさらに一歩を進め、審判ではなく福音を、道徳ではなく信仰を前面に押し出し、人が悔い改めて福音を信じさえすれば、神の国はすでに眼前にあることを宣（の）べ伝えた。

キリスト教入門 (新字新仮名) ／矢内原忠雄(著)

葱のぬた食（を）しつつふともこの葱は硬き葱ぞと父の宣（の）らしつ　（二七〇頁）

文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

あなあはれ、雀子よとて雀子を撫でさすり、掻い撫でさすり、偽りなせそ、むさぼりそよ、おのづからなれ、正しく、直（なほ）く、常童（とこわらべ）にて、天地（あめつち）の神ごころにも通へとぞ、悲しかれよと宣（の）りましき。

観相の秋 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

海苔粗朶（のりそだ）に汐の煙（け）立ちて寒き夜は地酒もがもと父の宣（の）らすに

海阪 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

葱のぬた食（を）しつつふともこの葱はかたき葱ぞと父の宣（の）らしつ

雀の卵 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

我家は菅家（くわんけ）の裔（すゑ）と宣（の）らしたる大伯母（おほをば）ましき敢て読みにけり

夢殿 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

佛にはかかる和（なぎ）をと宣（の）らせこそなどか愛（かな）しき光る若葉

白南風 (旧字旧仮名) ／北原白秋(著)

仏にはかかる和（なぎ）をと宣（の）らせこそなどか愛（かな）しき光る若葉

白南風 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

日の暮は目見（まみ）薄らよと宣（の）る父に蘇鉄は寒し層む葉の隈（くま）

海阪 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

かく宣（の）らし、かく坐（ま）しき天皇（すめらみこと）

新頌 (旧字旧仮名) ／北原白秋(著)

見はるかし、大君（おほきみ）宣（の）らす

新頌 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

見はるかし、大君（おほきみ）宣（の）らす

新頌 (旧字旧仮名) ／北原白秋(著)

あなおほら、大君（おほきみ）宣（の）らす

新頌 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)

あなおほら、大君（おほきみ）宣（の）らす

新頌 (旧字旧仮名) ／北原白秋(著)

父は宣（の）らしぬ、よき母よ

海豹と雲 (新字旧仮名) ／北原白秋(著)