)” の例文
尾の房々と長く垂れた白馬にまたがった一人の将校を先頭に黒馬にった十余人の一団が、猟人広場の方から赤い広場へ入って来た。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
不意に陽がかげって頭の上へおおいをせられたような気がするので、なんふくっているろばから落ちないように注意しながら空を見た。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「なるほど、北人はよく馬にり南人はよく舟を走らすと世俗のことわざにもありましたが、実に、呉人は水上を行くこと平地のようですね」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのあたりは険岨けんそで馬にっていくことができないので、馬を下男にわたして帰し、独りになって、うねりくねった山路を越えていった。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
しかるに魔あらためず物を乞い続けてやまず、上帝耐え兼ねて天人多く集め各々好馬を与えある朝早くこれにりて魔と戦わしめた。
高靴のかかととがりを見ると、そのままポンとて、馬にって、いきなり窓の外を、棟を飛んで、避雷針の上へ出そうに見える。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
友を迎えにやったのであろう、一人の童子が大きな牛にり、笛をふきながら水をわたって帰ってくる。すべてが自然の中に溶けこんでいる。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
誰でも、夜なかのこの時刻に、わたしたちふたりがこんなに疾駆しっくするのを見たらば、悪魔にった二つの妖怪と間違えたに相違ありますまい。
かのフアビアニの君のやうなる、美しき軍服に身をかためて、羽つきたるかぶとを戴き、長き劍をきて、法皇のみ車の傍をりゆかんとやおもふ。
これにりて須坂を出ず。足指漸くあおぎて、遂につづらおりなる山道に入りぬ。ところどころに清泉ほとばしりいでて、野生の撫子なでしこいとうるわしく咲きたり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「何、死にやしません。ああ見えたつて、ありや普賢文殊ふげんもんじゆです。あの友だちの豊干ぶかん禅師つて大将も、よく虎につちや、銀座通りを歩いてますぜ。」
寒山拾得 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その大将め、はるか対方むこう栗毛くりげの逸物にッてひかえてあったが、おれの働きを心にくく思いつろう、『あの武士さむらい、打ち取れ』と金切声立てておッた
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
シャロットの入口に渡したる石橋に、蹄も砕けよと乗り懸けしと思えば、馬は何物にかつまずきて前足を折る。るわれはたてがみをさかにいて前にのめる。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小松さんは遙る/″\馬につて迎へに来て、お龍さん足が傷むだらうと私の鞋を解いて石でたゝひて呉れました。
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
馬に乗っているなら、試みにその気高い動物を波に向かってり入れ、おそろしさに足掻あがくのを見るもよかろう。
それを纏い馬にり数千騎を率いて走り来るところを信昌公にはただ一騎樹蔭にかくれて待ちかけ給い、矢頃を計って切って放てばその矢誤たず胸にあたり
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ル氏は毎日馬につて役所に出掛けたものだが、農夫爺ひやくしやうおやぢうちはその途中にあるので、馬にいたル氏は、時々鞍から下りて爺さんの家で休んだりしたものだ。
レジナにてうさぎうまを雇ひ、葡萄圃ぶだうばたけ、貧しげなる農家など見つつり行くに、やうやくにして草木の勢衰へ、はては片端かたはになりたる小灌木、半ば枯れたる草の茎もあらずなりぬ。
ヴエスヴイオ山 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
老人と老馬は安全を得るということに就ては賢いものであるから、大抵の場合に於て老人には従い、老馬にはるのが危険は少い。けれども其は無事の日の事である。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あの馬のり手はこの夜更けに何のためにこの王宮のまわりを駈けめぐるのであろう。あんな疾い馬がこの世に在るか知らん。は俺の知らぬ魔者ではないか知らん。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
……マーキューシオーの親戚しんせきのパリス殿どのぢゃ! うまって途中とちゅう家來けらいめがなんとかうた
従者の一人が繖をさしかけていた。見ると、この人たちの着物には縫い目がなく、うろこのような五色のがあって、毛がなかった。やがて雨を催して来ると、男は馬にった。
おれは今まではたけにいたが、餅草もちぐさどころじゃあらすか。きょうのお通りは正五しょういつどきだげな。殿様は下町の笹屋ささやの前まで馬にっておいでで、それから御本陣までお歩行ひろいだげな。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それから七年に一度ずつ、軍馬にった太公がキルデーアの革船と呼ばれている山の廻りを騎り廻します。太守がいなくなった時、その軍馬の銀の蹄鉄は半インチの厚さがありました。
屑拾いの風体を怪しんで押取囲おっとりかこんで吠付いたりした事も無いではないが、是れは皆友達を見よう見真似に其の尻馬にって、訳も分らずに唯騒ぐので、ポチにっとも悪意はない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
『ええ、宅の方へ廻診に来る時は、大抵自転車よ。でなけや馬につて来るわ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
用意がすでに整うと、第一番の射手が馬を乗り出しました。三たび馬をめぐらした後、日の丸の扇を開いて、笠の端を三度繕い、馬を驀然まっしぐらり出しながら、その開いた扇を中天になげうつ。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なにを存じてろうが、お父様とっさまがお逝去かくれ前からある大白月毛おおしろつきげの馬、れは歳をっては居るが、癖のないい馬で、あれを遣ろう、荒くらずに歳をとって居るからいたわって乗るよう
そんな風に、馬につたままで、いつも日が暮れるのだつた。或る日もさうやつて暮れていつた。人びとはまた默りあつてしまつたが、明るいことばが身にしみてゐた。そのとき侯爵が兜をぬいだ。
ちやく本繩ほんなはに掛りえりには水晶すゐしやう珠數ずずを掛け馬にりて口に法華經ほけきやう普門品ふもんぼん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
街から西の渡し場迄行って、マターファ側の村々の様子を見ようと、馬にる。ヴァイムスまで行くと、路傍の家々に人々がごたごた立騒いでいたが、武装はしていない。川を渡る。三百ヤードで又、川。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ヤクにる 夜が明けるとその息子はいそいそしくお婆さんの言付けを聞いてヤクを連れて来た。そのヤクという獣はまず日本の牡牛よりよほど大きいものです。また小さな奴は牝牛位のものもある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
あるは、また、馬にりて
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
おまへにつてかう
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
驢にりて桟路に
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
ミ翁また若返り、二術士を二に化し、自らその一にり、のち山より投下す。今一の驢に豕脂ししを負わせ、報酬として鼠どもに贈るとある。
牛に乗った武士と訊いても、牛馬にって行く旅人は多い。それに又八は、武蔵一人と思っていたが、武蔵には、お通、城太郎の道連れがあった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また殿しんがりで敵に向いなさるなら、鹿毛かげか、葦毛あしげか、月毛か、栗毛か、馬の太くたくましきにった大将を打ち取りなされよ。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
むしせざるをあやしむのみと。令史れいしおどろいてふやう、うまはじめよりうまやいださず祕藏ひざうせり。またいへるべきものなし。なん千里せんりくとふや。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
点呼に応ずる兵卒の正服つけて、黒き毛植ゑたるバワリアかぶといただける、警察吏の馬にり、または徒立かちだちにてせちがひたるなど、雑沓ざっとういはんかたなし。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
冷なる學校のたふに坐して、かびえたるハツバス・ダアダアが講釋に耳傾けんは、あまりに甲斐なき事ならずや。見よ、我が馬にりてまちを行くを。
しかし、この驢馬はね、消え得るもので、ぐるりの光のつよさと熱度に応じて総体が縮少しつつある。昔から驢馬には女がりました。白い驢馬だったそうです。
段〻と左へ燈光ともしびを移すと、大中小それぞれの民家があり、老人としよりや若いものや、蔬菜そさいになっているものもあれば、かさを張らせて威張いばって馬にっている官人かんじんのようなものもあり
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
隴西ろうせい李徳逢りとくほうという男は当年二十五歳の青年で、馬にり、弓をひくことが上手で、大胆な勇者として知られていましたが、こういう人物の癖として家業にはちっとも頓着せず
ベンヂヤミン・フランクリンがある冬馬につて田舎に旅行をした事があつた。雪の多い頃で、夕方ゆふかた田舎の旅籠屋はたごやに着いた頃には、馬も人も砂糖の塊のやうに真白まつしろになつてゐた。
するとっていた馬の足がはやくなって下男はいていくことができなかった。馬は飛ぶようにいってやがて一本の樹の下に止った。そこには黄巾氅服の道士がたくさん往来していた。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
口約束だけで間に合わせて行く。しかも然諾ぜんだくを重んずる。子供の頃には羊にる。弓をひいて鳥を射る。青年になると馬に騎って、弓をひいて狐兎ことを射る。食い物といえば肉ばかりだ。
沙漠の美姫 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それに日本語では、「読み手」、「書き手」、「聞き手」、「」などの如く、ほとんど凡ての動詞に「手」の字を添えて、人の働きを示しますから、手に因む文字は大変な数に上ります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
宮「り潰してはいかんよ、別になにも云う事はないか…これ/\金吾」
りつつ、騎りつつ、騎りつつ、日ねもす、夜もすがら、日ねもす。