寒山拾得かんざんじっとく
久しぶりに漱石先生の所へ行つたら、先生は書斎のまん中に坐つて、腕組みをしながら、何か考へてゐた。「先生、どうしました」と云ふと「今、護国寺の三門で、運慶が仁王を刻んでゐるのを見て来た所だよ」と云ふ返事があつた。この忙しい世の中に、運慶なんぞ …
題名が同じ作品
寒山拾得 (新字新仮名)森鴎外 (著)
寒山拾得 (旧字旧仮名)森鴎外 (著)