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除
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の
ふりがな文庫
“
除
(
の
)” の例文
爺いさんは
焼鍋
(
やきなべ
)
を出して、玉葱でこすつて、一寸火に掛けて温める。ドルフとリイケとは林檎を剥いて、心を
除
(
の
)
けて輪切にしてゐる。
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
脆
(
もろ
)
いと申せば女ほど脆いはござらぬ女を説くは知力金力権力腕力この四つを
除
(
の
)
けて他に求むべき道はござらねど権力腕力は
拙
(
つたな
)
い極度
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
第一の準備として、囚人一同は毎日受け取る食料のパンを、少しづゝ
除
(
の
)
けて置いて、それを集めてワシリの携帯糧食にする事にした。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
フットライトの中に浮き出してあでやかに笑いまわる舞姫の鼻の表現のわびしさは、絶対に拭い
除
(
の
)
ける事の出来ないものでしょうか。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「この
山車
(
だし
)
が皆徳川時代のものばかりです。近郷近在から
雲霞
(
くもかすみ
)
と人が出てその盛んなこと京都の祇園祭を
除
(
の
)
ければ恐らく日本一です」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
する馬鹿はないから、お蔭でお六は下手人の疑ひから取り
除
(
の
)
けられたやうなもので、——隨分嫌なことをする惡黨ぢやありませんか
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
白井はこの機会をのがさず
這
(
は
)
ふやうに
折屈
(
をりかゞ
)
んで、片手を常子の額に載せて見た。
体
(
てい
)
よく
除
(
の
)
けられるかと思ひの外常子はにつこり微笑み
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
何故息を
吐
(
つ
)
いたかといふと、こんな式位で噂に聞いた
大蛇
(
おろち
)
の祟りが無事に
取
(
と
)
り
除
(
の
)
けられるものか、
何
(
ど
)
うか疑はしかつたからである。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
政府はこの弊を
矯
(
た
)
めるがために神仏混淆を明らかに区別することにお
布令
(
ふれ
)
を出し、神の
地内
(
じない
)
にある仏は一切取り
除
(
の
)
けることになりました。
幕末維新懐古談:31 神仏混淆廃止改革されたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
いわゆる特殊部落民であるというただ一つの理由をもって、
他
(
ほか
)
のあらゆる条件を顧ることなく、ただちに
除
(
の
)
け者にせられるのであります。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
犯そうとするのではない、自分はお前たちが
除
(
の
)
け者だ、
外道
(
げどう
)
だ、と言っている者の友となり、これらの者を救おうとしているのだ
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
外から見かけたこの貧寒さを取り
除
(
の
)
けるためには、少なからざる虚栄心の
濫費
(
らんぴ
)
をしなければ西欧に追っつけるものではなかった。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
いつも母の世話になるので、晴代は二十六日の法要の
香奠
(
かうでん
)
にする積りで、自分の働いた金のうちから、一円二円と
除
(
の
)
けておいた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
体中
(
からだぢう
)
珠数生
(
じゆずなり
)
になつたのを
手当次第
(
てあたりしだい
)
に
掻
(
か
)
い
除
(
の
)
け
毟
(
むし
)
り
棄
(
す
)
て、
抜
(
ぬ
)
き
取
(
と
)
りなどして、
手
(
て
)
を
挙
(
あ
)
げ
足
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
んで、
宛
(
まる
)
で
躍
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ふ
形
(
かたち
)
で
歩行
(
あるき
)
出
(
だ
)
した。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「どうもその女だけ
除
(
の
)
けものにされているらしい。村の人にきくとあの女はしようがありませんと云って、てんで相手にならないんだ。」
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
あのごつごつした岩の上へ、己は花を咲かせて見る事も出来る。あの
空
(
そら
)
に漂っている白い雲を己は追い
除
(
の
)
けてしまう事も出来る。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
ところへ後の横町から突然
馳
(
か
)
け出して来た一人の男が、敬太郎を突き
除
(
の
)
けるようにして、ハンドルへ手をかけた運転手の台へ飛び上った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もし、つまらない事情であなたと私と喧嘩したぐらいでは、なか/\あなたのこの影響は私から
除
(
の
)
け切れるものではありません。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
遅参の一人や二人は
除
(
の
)
け者にして、すぐに歌留多に取りかかるのであるが、今夜にかぎってどの人も石川の来るのが待たれるような心持で
妖婆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
仏道から言えばいっさいのことは院の御念頭から
除
(
の
)
けられてよいわけではあるが、さすがに悲しみにぼけたふうには人から見られたくない
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「……私の汚れ物を皆入れてありますから、それを
除
(
の
)
ける間、ちょっとお母さまのお
房
(
へや
)
でお待ちしてくださいませ、すぐ
執
(
と
)
り除けますから」
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
乳母を職業としている者にでも対するような
挨拶
(
あいさつ
)
には、彼女はもちろん愉快ではなかったが、しかしそれをすら押し
除
(
の
)
けて
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
Bは
拳
(
こぶし
)
を固めて突っ立った。体がわなわなと顫えている。しかし恐怖の影は
面
(
おもて
)
に漂っていた。彼は、Kを押し
除
(
の
)
けて出口の方に行こうとした。
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ひとりこの姉を
除
(
の
)
け者にして芝居に誘わなかったことが、何だか意地悪をしたようで、済まなく感ぜられて来るのであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
投げた脇差は、
傍輩
(
はうばい
)
と一しよに半棒で火を払ひ
除
(
の
)
けてゐる菊地弥六の頭を越し、
襟
(
えり
)
から袖をかすつて、半棒に触れ、少し切り込んでけし飛んだ。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
又
(
また
)
その
眼
(
め
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
りさうな
後
(
おく
)
れ
毛
(
げ
)
を
拂
(
はら
)
ひ
除
(
の
)
けやうとして
其
(
そ
)
の
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
つてる
所
(
ところ
)
を
見
(
み
)
ました——それから
又
(
また
)
一
心
(
しん
)
に
何
(
なに
)
か
聽
(
き
)
いてるやうにも
見
(
み
)
えました
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
しかし完全な結晶というのは
稀
(
まれ
)
であって、色々の形の汚い結晶が混っているので、それを取り
除
(
の
)
けるのが
一骨
(
ひとほね
)
であった。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
『右手鳥居なかの一本は奥州仙台伊達政宗公。赤いおたまやは井伊かもんの守』こういうことを幕無しに云って
除
(
の
)
けた。
仏法僧鳥
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
お
負
(
まけ
)
にそれを
洒々落々
(
しゃしゃらくらく
)
たる態度で遣って
除
(
の
)
ける。ある時ポルジイはプリュウンという
果
(
くだもの
)
の干したのをぶら下げていた。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
その人を
除
(
の
)
けものにしておいて、他人にその
噂
(
うわさ
)
をさせて平気で聞いていることはどうしても彼にはできないと思った。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
何よりも不思議でならないのは、私を
除
(
の
)
けては、この家にゐる誰一人として、彼女のやることに氣を留めたり、
訝
(
いぶか
)
つたりする者の無いことであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ああ浮世は
愁
(
つ
)
らいものだね、何事も
明
(
あけ
)
すけに言ふて
除
(
の
)
ける事が出来ぬからとて、お倉はつくづく
儘
(
まま
)
ならぬを
傷
(
いた
)
みぬ。
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夫人はその青年のために、
座席
(
シート
)
を取って置いたかのように、自分の右に置いてあった小さいトランクを取り
除
(
の
)
けた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そういうわけで長じてからは三人の兄から何かにつけて
除
(
の
)
け者にされ、中学生のとき、父もママ母も死んでからは、彼にとっては面白くもない家だった。
淪落の青春
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
木曾が呆然としてしまったのは、そのためだった。なんだか自分だけが、
除
(
の
)
け者にされたような激しい失意に、一瞬、打ちのめされてしまったのだった。
宇宙爆撃
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
正三は床を片寄せて、机の上のスタンドのカバアを
除
(
の
)
けようとした、すると純子が急いで正三の手を押えながら
豹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「車にお乗り。」そして彼は胸を
轟
(
とどろ
)
かしながら彼女の肩に手をかけた。彼女はもう一度鋭く彼を見詰め、それから不意に彼の胸を押し
除
(
の
)
けて駈けだした。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
たいへんなことが始まっているんですから、ボクさんだけを
除
(
の
)
けて、皆んなですぐここへやって来てちょうだい。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「ところが、大儲けですよ。あんな大儲けをした殺人事件は、この数年来ありませんな。おまけに賊は悠々と
行
(
や
)
って
除
(
の
)
けたのです。それは私が保証します」
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
誰一人それをそうと見るものはない。今夜は何の話にも僕等二人は
除
(
の
)
けものにされる始末で、もはや二人は全く罪あるものと黙決されてしまったのである。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
分類の方法にもいろいろの案はあろうが、だいたいに発生の時の順序を追うて、まず最も新しい「分割地名」というものを、取り
除
(
の
)
けてみることができる。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
また、非常に何か怖いと思う虫が手の平にのっていて、それを、いくら払い
除
(
の
)
けようとしても、どうしてもとれない夢を見る。そんな夢は私の怖い夢である。
触覚について
(新字新仮名)
/
宮城道雄
(著)
夫は我家に入りて
菜籠
(
なかご
)
かたよせ
竈
(
かまど
)
に薪さしくべ、財布の紐とき翌日の
本賃
(
もとで
)
をかぞえ
除
(
の
)
け、また
店賃
(
たなちん
)
をば竹筒へ納めなどする頃、妻眼を覚し精米の代とはいう。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
返辞を与えぬ代りに、玉枝は、さらに次の木箱の蓋を取り
除
(
の
)
けた。主水の顔は、見るまに、まっ蒼になって
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愈々
(
いよいよ
)
変です。そこで彼は思切って、力まかせにその天井板をはね
除
(
の
)
けて見ますと、すると、その途端、ガラガラという音がして、上から何かが落ちて来ました。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
手を上げて掻き
除
(
の
)
けたその拍子にツルリと袖が腕を辷り、露出した白い二の腕一杯桜の
刺青
(
ほりもの
)
がほってある。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
叢
(
くさむら
)
の中からぬっと
迫
(
せ
)
り出して来て笠を
撥
(
は
)
ね
除
(
の
)
け、
脇差
(
わきざし
)
を抜いて見得を切るあの顔そっくり。その顔で
癇癪玉
(
かんしゃくだま
)
を破裂させるのだから、たいがいの者がぴりぴりした。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
そんな知識は
除
(
の
)
けて子供みたような心持になって、いかにもその萍の花から雲に乗れそうに思えたのを、そのまま句にしたところにかえって妙味があるのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
煙突をかけ上るようなことになりそうなんだ! 赤いお家の人は、おそらく、われわれを
除
(
の
)
けた世間一般の人達にとっては、一向こわくもなんともない人らしい。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
男はにくらしげにそう言って、こんどはガラスの箱のふたを
除
(
の
)
けたのでした。すると一時に向う岸からして来た唄が、このガラスの箱の中から起ってくるのでした。
不思議な魚
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
除
常用漢字
小6
部首:⾩
10画
“除”を含む語句
取除
掃除
祓除
拭掃除
除夜
除外
庭掃除
蠅除
日除
魔除
厄除
削除
芟除
雷除
風除
除去
刪除
雨除
除目
大掃除
...