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熨
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の
ふりがな文庫
“
熨
(
の
)” の例文
時がたちさえすれば、
罅
(
ひび
)
の入ったお今の心が、それなりに綺麗に
縫
(
と
)
じ合わされたり
熨
(
の
)
されたりして行くとしか思えなかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
例の場所にて釣りたらば、水は浪立ずして、
熨
(
の
)
したる如く、船も竿も静にて、毛ほどの
中
(
あた
)
りも能く見え、殊に愛日を背負ひて釣る心地は、
嘸
(
さぞ
)
好かるべし。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
広い波の面は
熨
(
の
)
すやうに平かで、只私達のゐる巌角の下だけに烈しい争闘が行はれ、恐ろしい叫喚の響きがしてゐるばかり、それも大きな眺めに圧せられて
伊良湖の旅
(新字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
髪は柔かく、小さなる八字
髭
(
ひげ
)
を生やしいる。黒のフロックコオトに黒のネクタイ。服は着たるばかりなりと覚しく、手にて
皺
(
しわ
)
を
熨
(
の
)
すように
撫
(
な
)
で、
埃
(
ほこり
)
を払うように
叩
(
たた
)
きつつ、寝間の戸を開けて登場。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
お庄は目につかぬほどの石炭の
滓
(
おり
)
のついた、白い洗濯物に霧を吐きかけては、
皺
(
しわ
)
を
熨
(
の
)
しはじめた。雨はじきに
霽
(
あが
)
って、また暑い日が
簾
(
すだれ
)
に差して来た。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
がたがたと動いていたミシンの音が止ると、彼は
裁板
(
たちいた
)
の前に坐って、縫目を
熨
(
の
)
すためにアイロンを使いはじめた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
叔母は
手箪笥
(
てだんす
)
や手文庫の底から見つけた古い証文や新しい書附けのようなものを父親の前に並べて、「何だか、これもちょっと見て下さいな。」と、むっちり肉づいた手に
皺
(
しわ
)
を
熨
(
の
)
した。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
真綿は
繭
(
まゆ
)
を
曹達
(
ソーダ
)
でくたくた煮て
緒
(
いとぐち
)
を
撈
(
さぐ
)
り、水に
晒
(
さら
)
して
蛹
(
さなぎ
)
を取り
棄
(
す
)
てたものを、板に
熨
(
の
)
して
拡
(
ひろ
)
げるのだったが、彼女は
唄
(
うた
)
一つ歌わず青春の甘い夢もなく、
脇目
(
わきめ
)
もふらず働いているうちに
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
熨
漢検1級
部首:⽕
15画
“熨”を含む語句
熨斗
熨斗目麻裃
熨斗目
火熨斗
長熨斗
大熨斗
熨斗餅
熨斗袋
熨斗紙
喜熨斗
熨斗目裃
火熨
折熨斗
熨斗形
熨斗梅
熨斗幕
熨斗太夫
火熨臺
火熨斗場
熨餅
...