“むせ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
80.5%
16.7%
嗚咽0.8%
0.6%
0.3%
嗔咽0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
御無事でおめでとうという言葉はのどつかえて出なかった。それだけいうのが精いっぱいで、母は式台に膝をついたまま、むせびあげた。
はたし状 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
陽に照され出して、やゝむせっぽく眼の覚めるような匂いを立て始めた夏草の香をしばらく嗅いでいます。お秀が橋の下の文吉を尋ねて来ました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
嗚咽むせびかえっているのです、それを見た武の顔はほんとうに例えようがありません、額に青筋を立てて歯を喰いしばるかと思うと、泣き出しそうな顔をして眼をまじまじさせます。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
迂老うろうは故箕作秋坪みつくりしゅうへい氏と交際最も深かりしが、当時の写本を得て両人対坐、毎度繰返しては之を読み、右の一段に至れば共に感涙にむせびて無言むごんに終るの常なりき。
蘭学事始再版序 (新字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
見て乞食こつじきとや思ひけんコリヤ今頃に來たとて餘り物もなし貰ひ度ば翌日あす早くよと云れてお菊は忽然たちまちむねふさがり口惜なみだむせびながらも好序と思へば涙を隱し成程斯樣かやうな見苦敷姿なり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
聞て其儀そのぎ勿々なか/\あひならず假令御仕置者なりとも首又は死骸などゆゑく渡してやる事は成ぬなり夫共御奉行所よりの御差※ならばしらぬことどうして/\出來ぬことなり早く歸られよと取合とりあう氣色けしきもあらざれば城富は力もぬけつゑすがりて茫然ばうぜんと涙にむせび居たりける是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
眼を半眼はんがんに閉じて死んだようになっておった。風は始終むきが変って、或は清新な空気を吹付けることもあれば、又或は例の臭気に嗔咽むせさせることもある。
そこで彼は提灯ちょうちんに火を移し、燈盞を吹き消して裏部屋の方へ行った。部屋の中には苦しそうなむせび声が絶えまなく続いていたが、老栓はそのひびきのおさまるのを待って、静かに口をひらいた。
(新字新仮名) / 魯迅(著)
顔は煙にむせびながら、眉をひそめて、空ざまに車蓋やかたを仰いで居りませう。手は下簾したすだれを引きちぎつて、降りかゝる火の粉の雨を防がうとしてゐるかも知れませぬ。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
とあるいひむせかへり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)