“噎”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
52.4%
むせ40.7%
おくび3.4%
むせび1.4%
0.7%
おく0.7%
むっ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
鼻と、口を手拭てぬぐいでしっかとゆわえてもムーンと鼻の穴から、頭へ突きぬけるような臭気が、せるようだった。れても同じだった。
工場新聞 (新字新仮名) / 徳永直(著)
良人おっとの軽い口ぶりを聞いて、おいちは声をあげて笑いだし、大助に激しく頬ずりをしながら、そしてむせるように笑いながら去っていった。
つばくろ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
刺身は調味つまのみになッておくび応答うけこたえをするころになッて、お政は、例の所へでも往きたくなッたか、ふとッて坐舗ざしきを出た。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
れつたいやうな、泣くやうな、變にあつむせびを吹きつける。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
きれる宵を庭向ふの家で
山の手歳事記 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
しみじみと身に染みるもの、油、香水、痒ゆきところに手のとどく人が梳櫛すきぐし。こぼれ落ちるものは頭垢ふけと涙。湧きいづるものは、泉、乳、虱、接吻くちつけのあとのおくび、紅き薔薇さうびの虫、白蟻。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ドアを開くと、むっとするような暖気が襲ってきて、それは熱に熟れた、様々な花粉の香りが——妙に官能をそそるような、一種名状しようのない媚臭で、鼻孔を塞いでくるのだった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)