むせ)” の例文
見て乞食こつじきとや思ひけんコリヤ今頃に來たとて餘り物もなし貰ひ度ば翌日あす早くよと云れてお菊は忽然たちまちむねふさがり口惜なみだむせびながらも好序と思へば涙を隱し成程斯樣かやうな見苦敷姿なり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
聞て其儀そのぎ勿々なか/\あひならず假令御仕置者なりとも首又は死骸などゆゑく渡してやる事は成ぬなり夫共御奉行所よりの御差※ならばしらぬことどうして/\出來ぬことなり早く歸られよと取合とりあう氣色けしきもあらざれば城富は力もぬけつゑすがりて茫然ばうぜんと涙にむせび居たりける是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)