“かなしみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
悲哀44.8%
24.1%
悲愁6.9%
悲痛4.3%
哀愁4.3%
哀情4.3%
2.6%
哀傷2.6%
哀哭1.7%
悲歎1.7%
悲傷0.9%
哀惜0.9%
悲嘆0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そういう人々は、墓詣りということが普通ただの習慣となってしまっているらしい。『時』が彼等の悲哀かなしみを磨り減らしたのであろう。
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
婦人の婚姻に因りてる処のものはおほむね斯の如し。しかうして男子もまた、先人いはく、「妻なければたのしみ少く、妻ある身にはかなしみ多し」
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
顔はあをざめ、眼は悲愁かなしみの色をたゝへ、思ふことはあつても十分に其を言ひ得ないといふ風で——まあ、情が迫つて、別離わかれの言葉もとぎれ/\であつたことを話した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ロミオ ローザラインと一しょぢゃと被言おッしゃるか? その名前なまへも、その名前なまへともな悲痛かなしみも、わし最早もうみんなわすれてしまうた。
日のくれぐれに、勝手口から井戸のそばに出て、平野をめぐる遠い山々のくらくなるのを眺めていると、身も引き入れられるような哀愁かなしみがそれとなく心をおそって来る。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
暫時無言で二人は歩いていたが、大友はく感じると、言い難き哀情かなしみが胸を衝いて来る。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
われかなしみを吹くときは
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この声にうながされて、東洋の都市は歓楽よろこびもなく、哀傷かなしみもなく、ただ寝よ、早く寝よ、夢さえ見る事なく寝よとて暗くなって行くのだ。自分は、ヴェルレーヌの一句を思付おもいついた。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
仙界フェヤリイ哀哭かなしみがあるだろう、しかし蜜の髪のマルヴィンよ、今からあなたは私の妃だ」フェルガルが言った。
約束 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
見給はゞ嘸驚きもなさる可く又お歎もなさる可しと思ひ廻せばまはすほど死で行身は悲歎かなしみもあらねど後へお殘りなさる其悲歎は如何ならん不孝はおゆるし下されと口には云ねど意の中おもひつゞけ打詫うちわぶる涙はむねにせぐり來てわつと計に泣出さんと爲しが父や目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
楽しい過去の追憶おもひでは今の悲傷かなしみを二重にして感じさせる。『あゝ、あゝ、奈何どうして俺は斯様こんな猜疑深うたがひぶかくなつたらう。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
暗くさみしい四辻の角のところへ出ると、頻に遠くの方で犬のほえる声が聞える。其時はもう自分で自分をおさへることが出来なかつた。堪へ難い悲傷かなしみの涙は一時に流れて来た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ああ死! 以前むかし世をつらしと見しころは、生何の楽しみぞ死何の哀惜かなしみぞと思いしおりもありけるが、今は人の生命いのちしければいとどわが命の惜しまれて千代までも生きたしと思う浪子。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
かくばかりなる悲嘆かなしみ
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)