哀傷かなしみ)” の例文
お志保は酒瓶てうしを持添へて勧めた。歓喜よろこび哀傷かなしみとが一緒になつて小な胸の中を往来するといふことは、其白い、優しい手のふるへるのを見ても知れた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この声にうながされて、東洋の都市は歓楽よろこびもなく、哀傷かなしみもなく、ただ寝よ、早く寝よ、夢さえ見る事なく寝よとて暗くなって行くのだ。自分は、ヴェルレーヌの一句を思付おもいついた。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
不図ふと斯ういふことを想ひ着いた時は、言ふに言はれぬ哀傷かなしみが身をおそふやうに感ぜられた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
來る歡樂たのしみ哀傷かなしみ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)