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悲
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かなしみ
ふりがな文庫
“
悲
(
かなしみ
)” の例文
だがもうそれは八時すぎ、丁度番組の第一の「秋の
悲
(
かなしみ
)
」の切れたところで、場内の
灯火
(
あかり
)
のいろがなぜか暗く疲れ切つた感じでした。
井上正夫におくる手紙
(新字旧仮名)
/
久保田万太郎
(著)
婦人の婚姻に因りて
得
(
う
)
る処のものは
概
(
おほむ
)
ね斯の如し。
而
(
しかう
)
して男子もまた、先人
曰
(
いは
)
く、「妻なければ
楽
(
たのしみ
)
少く、妻ある身には
悲
(
かなしみ
)
多し」
愛と婚姻
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの奥さんを失う
悲
(
かなしみ
)
から出た不平ではない。自己を愛する心が傷つけられた不平に過ぎない。大村が恩もなく
怨
(
うらみ
)
もなく別れた女の話をしたっけ。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
笑ふかと見れば泣き、泣くかと見れば
憤
(
いか
)
り、
己
(
おのれ
)
の胸のやうに
際
(
そこひ
)
も知らず黒く濁れる夕暮の空に向ひてその
悲
(
かなしみ
)
と恨とを訴へ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
痩
(
やせ
)
たりや/\、病気
揚句
(
あげく
)
を恋に
責
(
せめ
)
られ、
悲
(
かなしみ
)
に絞られて、此身細々と心
引立
(
ひきたた
)
ず、
浮藻
(
うきも
)
足をからむ
泥沼
(
どろぬま
)
の
深水
(
ふかみ
)
にはまり
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
一種の甘い
悲
(
かなしみ
)
に酔ひ
惚
(
ほ
)
れて、私は風の落ちた薄暗の小径をとぼ/\と辿つた。私は自分の家へ帰れるだらうか。
愛は、力は土より
(新字旧仮名)
/
中沢臨川
(著)
闇
(
やみ
)
にも
歡
(
よろこ
)
びあり、
光
(
ひかり
)
にも
悲
(
かなしみ
)
あり
麥藁帽
(
むぎわらばう
)
の
廂
(
ひさし
)
を
傾
(
かたむ
)
けて、
彼方
(
かなた
)
の
丘
(
をか
)
、
此方
(
こなた
)
の
林
(
はやし
)
を
望
(
のぞ
)
めば、まじ/\と
照
(
て
)
る
日
(
ひ
)
に
輝
(
かゞや
)
いて
眩
(
まば
)
ゆきばかりの
景色
(
けしき
)
。
自分
(
じぶん
)
は
思
(
おも
)
はず
泣
(
な
)
いた。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
七夕の竹ヤ々々は心涼しく、
師走
(
しはす
)
の竹ヤ/\は(すゝはらふ竹うりなり)
聞
(
きく
)
に
忙
(
せはし
)
。物皆季に
応
(
おう
)
じて声をなし、情に入る事天然の理なり。
胡笳
(
こか
)
の
悲
(
かなしみ
)
も又然らん。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
君と余とは中学時代以来の親友である、殊に今度は同じ
悲
(
かなしみ
)
を抱きながら、久し振りにて相見たのである、単にいつもの旧友に逢うという心持のみではなかった。
我が子の死
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
して見ると詩人は常の人よりも苦労性で、
凡骨
(
ぼんこつ
)
の倍以上に神経が鋭敏なのかも知れん。超俗の喜びもあろうが、無量の
悲
(
かなしみ
)
も多かろう。そんならば詩人になるのも考え物だ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
己の
喜
(
よろこび
)
だの
悲
(
かなしみ
)
だのというものは、本当の喜や悲でなくって、
謂
(
い
)
わば未来の人生の影を取り越して写したものか、さもなくば本当に味のある万有のうつろな図のようなものであって
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
「僕達は親友では無かったか」私は
愁
(
うれい
)
に捉えられながら、彼の心を動かそうとした。「いいや僕達は親友の筈だ。二人の心は一つであった。
喜
(
よろこび
)
も
悲
(
かなしみ
)
も一緒に感じ、そうして慰め合ったものだ。 ...
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この椅子はあれがまだ生れぬ世を、
喜
(
よろこび
)
につけ
悲
(
かなしみ
)
につけ、2695
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
かくて我は
悲
(
かなしみ
)
のさなかに
遺
(
のこ
)
されつ、泣かんとす
我が一九二二年:02 我が一九二二年
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
何
(
なん
)
ともわかぬ
悲
(
かなしみ
)
を思はしむる目付あり。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
われのに似たる
悲
(
かなしみ
)
をする人ありや。
あはれ今
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
あるは恐る、
悲
(
かなしみ
)
に絶望に捧げむと
母
(旧字旧仮名)
/
アダ・ネグリ
(著)
驚
(
おどろ
)
きもせずはた
悲
(
かなしみ
)
もせず
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
「
悲
(
かなしみ
)
」の
螺
(
かひ
)
かとばかり
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
病
(
やまひ
)
に
塵
(
ちり
)
に
悲
(
かなしみ
)
に
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
故
(
ゆゑ
)
に幾日の後に待ちて又かく聞えしを、この文にもなほ
験
(
しるし
)
あらずば、彼は
弥増
(
いやま
)
す
悲
(
かなしみ
)
の中に定めて
三度
(
みたび
)
の筆を
援
(
と
)
るなるべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
闇
(
やみ
)
にも
歓
(
よろこ
)
びあり、光にも
悲
(
かなしみ
)
あり、
麦藁帽
(
むぎわらぼう
)
の
廂
(
ひさし
)
を傾けて、
彼方
(
かなた
)
の丘、
此方
(
こなた
)
の林を望めば、まじまじと照る日に輝いて
眩
(
まば
)
ゆきばかりの景色。自分は思わず泣いた。
画の悲み
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
七夕の竹ヤ々々は心涼しく、
師走
(
しはす
)
の竹ヤ/\は(すゝはらふ竹うりなり)
聞
(
きく
)
に
忙
(
せはし
)
。物皆季に
応
(
おう
)
じて声をなし、情に入る事天然の理なり。
胡笳
(
こか
)
の
悲
(
かなしみ
)
も又然らん。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ああ、
悲
(
かなしみ
)
の
翼
(
つばさ
)
は己の体に触れたのに、己の
不性
(
ぶしょう
)
なために
悲
(
かなしみ
)
の
代
(
かわり
)
に詰まらぬ不愉快が出来たのだ。(物に驚きたるように。)もう暗くなった。己はまた詰まらなくくよくよと物案じをし出したな。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
去歳
(
こぞ
)
の春すが
漏
(
もり
)
したるか怪しき
汚染
(
しみ
)
は滝の糸を乱して
画襖
(
えぶすま
)
の
李白
(
りはく
)
の
頭
(
かしら
)
に
濺
(
そそ
)
げど、たて
付
(
つけ
)
よければ身の毛
立
(
たつ
)
程の寒さを
透間
(
すきま
)
に
喞
(
かこ
)
ちもせず、
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も安楽にして居るにさえ、うら寂しく
自
(
おのずから
)
悲
(
かなしみ
)
を知るに
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
年寄の手の
顫
(
ふる
)
えたるは、
老
(
おい
)
のためとも
悲
(
かなしみ
)
のためとも知れず。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
悲
(
かなしみ
)
の隣に
喜
(
よろこび
)
があり、喜の隣に悲があるのです。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
悲
(
かなしみ
)
、
削
(
そ
)
ぎしやつれがほ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
昔より
悲
(
かなしみ
)
の母
忌々しき「死」の大君は
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
病
(
やまひ
)
に
塵
(
ちり
)
に
悲
(
かなしみ
)
に
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
一時に
両親
(
ふたおや
)
に別れて、死目にも
逢
(
あ
)
はず、その臨終と謂へば、気の毒とも何とも謂ひやうの無い……
凡
(
およ
)
そ人の子としてこれより上の
悲
(
かなしみ
)
が有らうか、察し給へ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一人の男
懐
(
ふところ
)
より
児
(
こ
)
をいだして
姑
(
しうと
)
にわたしければ、
悲
(
かなしみ
)
と
喜
(
よろこび
)
と
両行
(
りやうかう
)
の
涙
(
なみだ
)
をおとしけるとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
貴様、運命の鬼が最も
巧
(
たくみ
)
に使う道具の一は『
惑
(
まどい
)
』ですよ。『惑』は
悲
(
かなしみ
)
を
苦
(
くるしみ
)
に変ます。
苦悩
(
くるしみ
)
を更に自乗させます。自殺は決心です。始終
惑
(
まどい
)
のために苦んで居る者に、
如何
(
どう
)
して此決心が起りましょう。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
わたしがこの世に生きていた
間
(
あいだ
)
の生活の半分はラヴェンデルの草の優しい
匂
(
におい
)
のように、この部屋の空気に籠っている。人の母の生涯というものは、
悲
(
かなしみ
)
が三
分
(
ぶ
)
一で、
後
(
あと
)
の二
分
(
ぶ
)
は心配と
責苦
(
せめく
)
とであろう。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
喜
(
よろこび
)
の日にも
悲
(
かなしみ
)
の日にも、あなたの歌と意地とは
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
悲
(
かなしみ
)
削
(
そ
)
ぎしやつれがほ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
悲
(
かなしみ
)
さらに深まさる。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
悲
(
かなしみ
)
節
(
せつ
)
を守りつぐ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
悲
(
かなしみ
)
の
色
(
いろ
)
口
(
くち
)
にあり。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
悲
(
かなしみ
)
の
色口
(
いろくち
)
にあり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
悲
常用漢字
小3
部首:⼼
12画
“悲”を含む語句
悲哀
悲愁
悲劇
悲痛
慈悲
悲惨
悲愴
悲嘆
悲歌
御慈悲
慈悲心鳥
悲歎
悲壮
悲慘
悲観
慈悲深
悲傷
可悲
歎悲
悲鳴
...