かなしみ)” の例文
「南無阿弥陀ァ仏——南無阿弥陀ァ仏」単調たんちょうな村のかなしみは、村の静寂の中に油の様に流れて、眠れよ休めよと云う様に棺を墓地へと導く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
われかなしみを吹くときは
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
都もひな押並おしなべて黒きをる斯大なるかなしみの夜に、余等は茫然ぼうぜんと東の方を眺めて立った。生温なまあたたかい夜風がそよぐ。稲のがする。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
われかなしみを吹くときは
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
秋の野にさす雲のかげの様に、あわかなしみがすうと主人あるじの心をかすめて過ぎた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)