)” の例文
お前の父さんは馬だねへと言はれて、名のりやらき子心にも顏あからめるしほらしさ、出入りの貸座敷いへの祕藏息子寮住居に華族さまを氣取りて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まへとゝさんはうまだねへとはれて、のりやらき子心こゞころにもかほあからめるしほらしさ、出入でいりの貸座敷いゑ祕藏息子ひざうむすこ寮住居りようずまひ華族くわぞくさまを氣取きどりて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お前のととさんは馬だねへと言はれて、名のりやらき子心にも顔あからめるしほらしさ、出入りの貸座敷いゑの秘蔵息子寮住居りようずまゐに華族さまを気取りて
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
憎くしと思へど流石に義理はらき物かや、母親かげの毒舌をかくして風引かぬやうに小抱卷何くれと枕まで宛がひて、明日の支度のむしり田作ごまめ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くしとおもへど流石さすが義理ぎりらきものかや、母親はゝおやかげの毒舌どくぜつをかくしてかぜかぬやうに小抱卷こかいまきなにくれとまくらまであてがひて、明日あす支度したくのむしり田作ごまめ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
憎くしと思へどさすがに義理はらき物かや、母親かげの毒舌をかくして風引かぬやうに小抱巻こかいまき何くれとまくらまであてがひて、明日あすの支度のむしり田作ごまめ
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れほどわかれるがおやかとせられて默頭うなづく可愛かあいさ、三年目ねんめ今日けふいまさらにむしろいつものらきがしなり。
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ああ浮世はらいものだね、何事もあけすけに言ふてける事が出来ぬからとて、お倉はつくづくままならぬをいたみぬ。
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かくるがらきぞとてしみ/″\と物語ものがたりつお八重やへひざをなげしてくしもやらぬ口説くどきごとにお八重やへわれを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
後生折つて下されと一むれの中にては年長としかさなるを見かけて頼めば、流石に信如袖ふり切りて行すぎる事もならず、さりとて人の思はくいよ/\らければ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
知らぬ事とて今朝までも釣瓶の繩の氷をらがつたは勿躰ない、學校ざかりの年に蜆を擔がせて姉が長い着物きて居らりようか、伯父さま暇を取つて下され
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
知らぬ事とて今朝けさまでも釣瓶つるべの縄の氷をらがつたは勿躰もつたいない、学校ざかりの年に蜆を担がせて姉が長い着物きてゐらりようか、伯父さまいとまを取つて下され
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
後生折つて下されと一むれの中にては年長としかさなるを見かけて頼めば、さすがに信如袖ふり切りてゆきすぎる事もならず、さりとて人の思はくいよいよらければ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのわがまゝのとほらぬこともあるまじきなれど、らきは養子やうし身分みぶん桂次けいじはつく/″\他人たにん自由じゆううらやみて、これからのすゑをもくさりにつながれたるやうにかんがへぬ。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その我ままのとほらぬ事もあるまじきなれど、らきは養子の身分と桂次はつくづく他人の自由をうらやみて、これからの行く末をも鎖りにつながれたるやうに考へぬ。
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
阿關の事なれば並大底で此樣な事を言ひ出しさうにもなく、よく/\らさに出て來たと見えるが、して今夜は聟どのは不在るすか、何か改たまつての事件でもあつてか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
阿関おせきの事なれば並大底でこんな事を言ひ出しさうにもなく、よくよくらさに出て来たと見えるが、して今夜は聟どのは不在るすか、何か改たまつての事件でもあつてか
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
阿關おせきことなればなみ大底たいてい此樣こんことしさうにもなく、よく/\らさにたとえるが、して今夜こんやむこどのは不在るすか、なにあらたまつての事件じけんでもあつてか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我れのみ一人あし曳の山の甲斐に峯のしら雲あとを消すこと左りとは是非もなけれど、今歳この度みやこを離れて八王子に足をむける事これまでに覺えなきらさなり。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れのみ一人ひとりあしびきやま甲斐かひみねのしらくもあとをすことりとは是非ぜひもなけれど、今歳ことしこのたびみやこをはなれて八王子わうじあしをむけることこれまでにおぼえなきらさなり。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我れのみ一人あしびきの山の甲斐かひみねのしら雲あとを消すことさりとは是非もなけれど、今歳ことしこの度みやこを離れて八王子に足をむける事これまでに覚えなきらさなり。
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
過ぎし故郷を出立の當時ないて姉をば送りしこと夢のやうに思はれて、今日此頃の全盛に父母への孝養うらやましく、お職を徹す姉が身の、憂いのらいの數も知らねば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
過ぎし故郷を出立しゆつたつの当時ないて姉をば送りしこと夢のやうに思はれて、今日この頃の全盛に父母への孝養うらやましく、お職をとほす姉が身の、いのらいの数も知らねば
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私でさへ植村樣が何だと聞いた時にはお可愛想な事をと涙がこぼれたもの、お孃さまの身に成つてはらからうでは無いか、私やお前のやうなおつと來いならば事は無いけれど
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼方あなたとはたちが違ふて言ふに言はれぬい方であつた、私でさへ植村様が何だと聞いた時にはお可愛想かあいさうな事をと涙がこぼれたもの、お嬢さまの身に成つてはらからうでは無いか
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
昼も夢に見て独言ひとりごとにいふ情なさ、女房の事も子の事も忘れはててお力一人に命をも遣る心か、浅ましい口惜くちをしいらい人と思ふに中々言葉はいでずして恨みの露を目の中にふくみぬ。
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひるゆめ獨言ひとごとにいふなさけなさ、女房にようぼうことことわすれはてゝおりき一人ひとりいのちをもこゝろか、あさましい口惜くちをしいらいひとおもふに中々なか/\言葉ことばいでずしてうらみのつゆうちにふくみぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あんな浮いた心では何時引取つてくれるだらう、考へるとつくづく奉公がやになつてお客を呼ぶに張合もない、ああくさくさするとて常は人をもだます口で人のらきを恨みの言葉
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おやといふのまして如何いかならん、さりとは隱居樣いんきよさまじみしねがひも、令孃ひめこヽろには無理むりならぬこと、生中なまなかみやこきて同胞きやうだいどもが、浮世うきよめかすをするもらし、なにごとものぞみにまかかせて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おくさまはたゞこのへだてをいのちにして、けずにねかし、かほみらるゝことらやとおぼしぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
姉さんと呼ばるれば三之助はおととのやうに可愛かあゆく、此処へ此処へと呼んで背をで顔を覗いて、さぞととさんが病気で淋しくらかろ、お正月も直きに来れば姉が何ぞ買つて上げますぞえ
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ねえさんとばるれば三すけおとゝのやうに可愛かあゆく、此處こゝ此處こゝへとんでかほのぞいて、さぞとゝさんが病氣びやうきさびしくらかろ、お正月せうぐわつきにればあねなんつてげますぞえ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたし手足てあしはたらかぬときりて何分なにぶんのお世話せはをおたのまをさねばらぬあかつき月給げつきうゑんらう、れをおもふといまのうち覺悟かくごめて、すこしはたがひにらきことなりとも當分たうぶん夫婦ふうふわかれして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
んないたこゝろでは何時いつ引取ひきとつてれるだらう、かんがへるとつく/″\奉公ほうこうやになつておきやくぶに張合はりあいもない、あゝくさ/\するとてつねひとをもだまくちひとらきをうらみの言葉ことば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
流石さすが信如しんによそでふりりてゆきすぎることもならず、さりとてひとおもはくいよ/\らければ、手近てぢかえだ引寄ひきよせて好惡よしあしかまはず申譯まうしわけばかりにりて、なげつけるやうにすたすたと行過ゆきすぎるを
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私はどんならき事ありとも必らず辛抱しとげて一人前の男になり、ととさんをもお前をも今に楽をばおせ申ます、どうぞそれまで何なりと堅気かたぎの事をして一人で世渡りをしてゐて下され
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしんならきことありともかならず辛抱しんぼうしとげて一人前にんまへをとこになり、とゝさんをもおまへをもいまらくをばおまをします、うぞれまでなんなりと堅氣かたぎことをして一人ひとり世渡よわたりをしてくだされ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さりとは愛敬あいきやうひとあきれしことありしが、たびかさなりてのすゑにはおのづか故意わざと意地惡いぢわるのやうにおもはれて、ひとにはもなきにれにばかりらき處爲しうちをみせ、ものへばろく返事へんじしたことなく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
針目あらはにきぬれて、此肩これに擔ぐか見る目もらし、安兵衞はお峰が暇を取らんと言ふに夫れは以ての外、志しは嬉しけれど歸りてからが女の働き、夫れのみか御主人へは給金の前借もあり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今日けふよりはわたしうちかへりて伯父樣おぢさま介抱かいほう活計くらしたすけもしまする、らぬこととて今朝けさまでも釣瓶つるべなわこほりらがつたは勿躰もつたいない、學校がくかうざかりのとししゞみかつがせてあねなが着物きものきてらりようか
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きに月日つきひながからんことらや、何事なにごともさらさらとてヽ、からず面白おもしろからずくらしたきねがひなるに、春風はるかぜふけばはなめかしき、枯木かれきならぬこヽろのくるしさよ、あはつききか此胸このむねはるけたきにと
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
涙のうちに送らせん事いとほし、乳房の別れのらしとても、子はただ一人なるぞかしと、分別らしき異見を女子をなごごゝろの浅ましき耳にさゝやかれて、良人をつとには心の残るべきやうもあらざりしかど
琴の音 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なほ其人そのひとこひしきもらく、なみだしづんでおく月日つきひに、らざりしこそをさなけれ、うへきをかさねて、宿やどりしたね五月さつきとは、さてもとばかなげふしてなきけるが、いまひとにもはじものおもはじ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
七光どころか十光とひかりもして間接よそながらの恩を着ぬとは言はれぬにらからうとも一つは親の為おととの為、太郎といふ子もあるものを今日までの辛棒がなるほどならば、これからとて出来ぬ事はあるまじ
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
七光なゝひかりどころか十光とひかりもして間接よそながらのおんぬとははれぬにらからうとも一つはおやためおとゝため太郎たらうといふもあるものを今日けふまでの辛棒しんぼうがなるほどならば、れからとて出來できことはあるまじ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たゞぼんやりとすごしまするの、ひにはかれまするやうにりて、かなしかるべきこといまおもふてもらし、わたくし貴郎あなたのほかに頼母たのもしき親兄弟おやきようだいし、りてからちゝらう在世ざいせのさまはたまごと
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そでよ、今の苦労はらくとも、暫時しばし辛棒しんぼうぞしのべかし。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たばそらつきあひみるべきぞとならばうれしけれどしやのねがひに左樣さうゆるにやいつらからば一すぢならでたのみのあるだけまどはるゝなりさてもお便たよりのきこえぬは何故なにゆゑいとはせたまひなば此處こゝへこそ御入來おいでなくとも本宅ほんたくへまで御踈遠ごそゑんとは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこねもして愛想あいそづかしのたねにもならばはぬにまさらさぞかしきみさまこそ無情つれなしともおもこゝろに二不孝ふかうらねど父樣とゝさまはゝさまなんおほせらるゝとも他處よそほかの良人をつともつべき八重やへ一生いつしやう良人をつとたずとふものからとはおのづかことなりて關係かゝはることなく心安こゝろやすかるべし浦山うらやましやと浦山うらやまるゝわれ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)