うれ)” の例文
骨董屋は損をしたが苦にもせず結局うれしがつて、私は土州の吉村に百両の鎧をやつたなどと、近処隣に吹聴して居ましたそうな。
うれしくもまうでつるよ、と聞ゆるに、新院のれいなることをしりて、地にぬかづき涙を流していふ。さりとていかに迷はせ給ふや。
そこは門も家も大きく、しとみおろしすだれ垂れこめた住居すまいであった。真女児が出て来て、酒や菓子を出してもてなしてくれたので、うれしき酔ごこちに歓会を共にした。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いとうれしげにてあるを、此の袈裟とり出でてはやく打ちかづけ、三八三力をきはめて押しふせぬれば、あな苦し、なんぢ何とてかく三八四情なきぞ。
新三郎はお露が無事でいたのでうれしかった。
円朝の牡丹灯籠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
豊雄、はじめより都人のあてなる御方とは見奉るこそ一一一かしこかりき。一一二鯨よる浜に生立おひたちし身の、かくうれしきこと一一三いつかは聞ゆべき。