-
トップ
>
-
帔
一一〇五更の
天明けゆく
比、
一一一現なき心にもすずろに寒かりければ、
一一二衾帔かんとさぐる手に、何物にや
籟々と音するに目さめぬ。
いと
喜しげにてあるを、此の袈裟とり出でてはやく打ち
帔け、
三八三力をきはめて押しふせぬれば、あな苦し、
你何とてかく
三八四情なきぞ。
緑の
髮、
桂の
眉、
皓齒恰も
河貝を
含んで、
優美端正畫と
雖も
及ぶべからず。
紫の
帔、
繍ある
※、
珠の
履をはきて
坐しぬ。
香氣一脈、
芳霞靉靆く。いやな
奴あり。