“嬉:うれ” の例文
“嬉:うれ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花41
夏目漱石30
宮沢賢治22
泉鏡太郎22
樋口一葉18
“嬉:うれ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語7.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)7.4%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行2.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
それを俳句の好きなある男がうれしがって、わざわざ私に頼んで、短冊に書かせて持って行ったのも、もう昔になってしまった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
帽も着物も黄色なを浴びて、宿の玄関へ下りた時は、ようやく残酷な支那人と縁を切ったような心持がしてうれしかった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ハムレットさまは、やっぱり、昔のままに明朗ですねえ。純真の判断には、曇りが無い。いいなあ、僕はうれしくなっちゃった。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
今日けふ立歸たちかへって、うれしさうにもてなし、パリスどのとの祝言しうげん承諾しょうだくしやれ。
うでねえ。)とをんな何気なにげなくこたへた、うれしやとおもふと、おきなさいよ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
新太郎ちやんは、何もいふことが出来なかつた。勝気な田舎の貧しい少年は、うれしくても感謝をする言葉を知らないのである。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
やす こんは、どぎやんことんあつたてちや、そぎやんまぢや、うれツしやにやせんと……。そん代り苦労もなかごたる。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
それが出来たらおれはどんなにうれしいか知れないと、まるでその事をこの上もない幸福のように空想したりするのでした。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「きっと忘れたんだ。そんならなかくちにおき忘れてあるんだ。そうだ」僕は飛び上がるほどうれしくなりました。
僕の帽子のお話 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
二十の涎繰よだれくりは、今まで腮を押えていた手拭で涙を拭いた。お上さんもたもとから手拭を出してうれし涙を拭いた。
カズイスチカ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あんなに草や竹を曲げてうれしがるなら、背虫の色男や、びっこ亭主ていしゅを持って自慢じまんするがよかろう。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただひとから頭を下げて頼まれるのがうれしくって物を受合いたがる彼は、頼み方が気に入らないと容易に動かなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし越したうれしさがまだ消えないうちに、またそのいささかの胃のとどこうる重き苦しみにえ切れなくなって来た。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きらいと云ったところで、構図の上に自分の気に入った天然の色と形が表われていればそれでうれしかったのである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると阿兄あにきは其がうれしかつたと見え、につこり笑つて、やがて私の顔を眺め乍らボロ/\と涙をこぼした。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
四十五歳の髯男ひげおとこ、小供か小犬の様にうれしい予期よき気分きぶんになって見て居ると、そろそろ落ち出した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ピリイは、二つのランプを眼のようにパチパチと光らせ、放熱器レディエイターからは、うれし涙をポトポトと落しました。
やんちゃオートバイ (新字新仮名) / 木内高音(著)
蝙蝠こうもり引払ひっぱたいていたさおほうり出して、うちへ飛込んだ、そのうれしさッたらなかった。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二つの眼は黒い南京玉なんきんだまのやうに小さくつぶらに輝いて、おびえてゐるのかと見るとうれしさうにも見える。
蝙蝠 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
が、こういうような出来事のおかげで、お竜ちゃんとこうやって思いがけず仲直りのできたのが、私には本当にうれしかった。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
あらたしきとしはじめおもふどちいれてればうれしくもあるか 〔巻十九・四二八四〕 道祖王
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
……鮪茶漬まぐちやづうれしがられた禮心れいごころに、このどんぶりへ番茶ばんちやをかけてんだ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ある日、わたしは並木道なみきみちを歩いていると、ひょっくりルーシンにぶつかったので、とびあがるほどうれしかった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
ほんにおまへ心遣こゝろづかひがおもはれるとうれしきなかにもおもふまゝの通路つうろかなはねば
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すては、貝に、よく聞き分けてもらえてうれしいといい、貝は、すてどのの口利きでは貝も聞きとどけねばなるまいといった。
無口な彼女はそんな場合にもいたって言葉数が少い方で、うれしいのだかつまらないのだか、いつも大概はむっつりとしています。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何よりうれしいのは断えず煖炉ストーブに火をいて、惜気おしげもなく光った石炭をくずしている事である。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これらは説明するがものはないことごとく自から進んでいられざるに自分の活力を消耗してうれしがる方であります。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「まあ助かった」とむずかしに云った。そのうれしくも悲しくもない様子が、御米には天から落ちた滑稽こっけいに見えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
書院の雨戸を開けると、起きて来てえんに両手をつき、主人にあたまでられてうれしそうに尾を振って居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ずうっと向ふのくぼみで、達二の兄さんの声がしました。牛は沢山の草を見ても、格別うれしさうにもしませんでした。
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
そういう意外な姿で出ると、そのために面白みが増して成功するに違いないと、メルキオルはあらかじめうれしがっていた。
それこそはしの夜半やはうれしいこと頂點ちゃうてん此身このみはこえんつな
その時の話に、あえて注文するではないが、今の文壇の評を書いてくれたなら、最もうれしかろうと云うことであった。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
五月十三日 今日学校から帰って田に行ってみたら母だけ一人て何だかうれしそうにして田のあぜを切っていた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
師匠は快く私の請いをれてくれました。で、私は一分二朱を現金で払った時のうれしさといってはありませんでした。
眼をさます刺激の底に何所か沈んだ調子のあるのをうれしく思いながら、鳥打帽をかむって、銘仙の不断着のまま門を出た。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「少し事情がありますので御厄介ごやっかいになったのでございます。おたずね下さらなければうれしゅうございます。」
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ランチュウを木製もくせいはちにいれてながいことながめて、うれしそうに口笛くちぶえをふきだした。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
赤シャツが座に復するのを待ちかねて、山嵐がぬっと立ち上がったから、おれはうれしかったので、思わず手をぱちぱちとった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私には無論その書物が解らないのだから、それほどうれしくもなかったけれども、何しろ損はしないだろうというだけの満足はあった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ようやく人間にって、やれうれしやと思った自分は、この三つい眼球めだまを見るや否や、思わずぴたりと立ち留った。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分の単簡たんかんの説明が終ると、彼はうれしくも悲しくもない常の来客に応接するような態度で「まあそこへおかけ」と云った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お重からやぶから棒にこう驚かされると、自分は腹の底で自分の味方が一人えたような気がしてうれしかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
昨日きのうに引き換えて、今日は津田のいる時よりもかえって早く起きたという事が、なぜだか彼女にはうれしかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わがを嫁にやる時、門出に流す母親の涙はうれしい涙ではありましょうが、それはまた悲しみの涙でもあるのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
卯平うへいにはかへつてそれがいので、かれはさうしてれるおつぎを何處どこまでもうれしくおもつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ト口早に制して、お勢が耳をそばだてて何か聞済まして、たちまち満面にわらいを含んでさもうれしそうに、
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
この帰りに更にロダン先生に逢つた事のうれしさを今この旅先で匆匆そうそうと書いてしまふのは惜しい気がする。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
だけをめば物々もの/\しいが、あまりのうれしさにこしけさうにつたのである。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
新地しんち絃歌げんか聞えぬがうれしくて丸山台まで行けば小蒸汽こじょうきそう後より追越して行きぬ。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「私を愛してるわ。……うれしいこと! 愛してくれるなんて、なんとやさしい人だろう!……私、ほんとに好きだわ!」
大女がそこにあらはれるが早いか、子供たちはみんな走つてそのそばへ行くのが、ちやうどお母さんでも来たやうに、うれしさうです。
虹猫の大女退治 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
けれども、それかみをのの、微妙いみじ製作せいさく会得ゑとくしたうれしさではなかつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その白と黒との二匹の子犬が、まるまるとふとつて、ふざけ散らしてるのを見て、さもうれしさうに笑つてゐました。
犬の八公 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
行幸の供にまかる人を送りては、「聞くだにうれし」と詠み、雪の頃旅立つ人を送りては、「用心してなだれにふな」と詠めり。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
つゝがなくうまいでしといふやうに言問ことゝひの前の人の山をくぐいでて見れば、うれしや
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
するとサラット先生が出て来て「おやこれは」と驚いて、まあどうして帰る事が出来たか、うれしいといって大層な喜び。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
……(エレーナに)もしそのうち、このソーニャさんとご一緒に、わたしのところへもお立寄り願えたら、ほんとにうれしく存じます。
所詮しょせんだめとは思っていても、しかしまた、ひょっとして、奇蹟的に家が残っていたらまあどんなにうれしかろうとも思うのだ。
薄明 (新字新仮名) / 太宰治(著)
知らない人に幾千人となく出逢であうのはうれしいが、ただ嬉しいだけで、その嬉しい人の眼つきも鼻つきもとんと頭に映らなかった。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そうかなあ、僕なんざうれしくってたまらないがなあ。我々の生命はこれからだぜ。今からそんな心細い事を云っちゃあしようがない」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その乳母ばあやが、妾が小さい時に持っていた、可愛らしい裸体はだかのお人形さんを持って来てくれた時のうれしかったこと……。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
おとよは家を出るまでは出るのがうれしく、家を出てしばらくは出たのが嬉しかったが、今は省作を思うよりほかに何のことも頭にない。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「まあ、あなたは死なないでいてくださいましたか」と言って、みんなでおんおんとうれきに泣きだしました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
最も悲しい世界、最もうれしい境地というものは、とうていありのままに、筆や口に、表現できるものではありません。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
たゞ代助の顔をれば、見てゐる其間そのあひだ丈のうれしさにおぼつくすのが自然の傾向であるかの如くに思はれた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
日本語は英語程に話せないらしく、東京を「トオ、キ、ヨ」と発音するのがかへつて僕達にはうれしく感ぜられた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
二人は顔を見あはせました。いくら汽車の旅にしても、雨はうれしくありません。風呂に這入はいつてから継子さんは考へてゐました。
案ずるよりむが安い。さすがの竜之助もその心置きなき主人の気質がしのばれて、この時ばかりは涙のこぼれるほどうれしかった。
けれどもカンがへるは、その立派なゴムぐつを見ては、もううれしくて嬉しくて、口がむずむず云ふのでした。
蛙のゴム靴 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
栄蔵はうれしくなつた。襖を取りのぞいて、お寺の本堂のやうに、だだつ広くなつたところで、もんどりうつて喜んだ。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
巴里パリーはどこの都ですか」とおたずねになった。すると「佛蘭西フランスの都であります」と光子がうれしそうに答えた。
先生の顔 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
四つばかりの丸々と肥つた男の子が此の母親の手から船頭の手に差し渡されると見る間に宙へ浮いて子供はうれしさうに陸へ上げられた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
またうれしいのは、摺上川すりかみがはへだてたむか土手どてはら街道かいだう
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かヾみきからぬかのやううへ他人ひとごとにしてうれしとはかれぬを
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自分はさっき平吉が、最上級のことばを使って八犬伝をめた時にも、格別うれしかったとは思っていない。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
涙を十七字にまとめた時には、苦しみの涙は自分から遊離ゆうりして、おれは泣く事の出来る男だと云ううれしさだけの自分になる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
叔父も叔母もうれしがっているわが子のために、一言いちごん愛嬌あいきょうを義務的に添える必要があった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何にも知らない我子の、うれしがっている美しい慰みを、無慈悲に破壊したのは、彼らの父であるという自覚は、なおさら彼を悲しくした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いま意外いぐわい塲所ばしよで、意外いぐわいひとよつたつせらるゝこのうれしき運命うんめい
又種類の違った別のものが欲しくなるといった風に、それから夫へと各種のペンや軸を試みてうれしがるそうだが
余と万年筆 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はなすくなけれど、よし蘆垣あしがき垣間見かいまみとがむるもののなきがうれし。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うまひましたが、ゆきればうまでもうれしいかととうさんはおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
祖父が勇壮な話の中途に、心に大切にしまってる議論の一つをはさむ時には、クリストフはあまりうれしくなかった。
甘き夏の夜の風を、四人は甚麽どんなうれしんだらう! 久子の兄とアノ人との会話はなしが、解らぬ乍らに甚麽に面白かつたらう!
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ただ自分の書いたものが自分の思う様な体裁で世の中へ出るのは、内容の価値如何いかんに関らず、自分だけうれしい感じがする。
自分のひそかな念願が、思いもかけず早速さっそくかなうことになったので、わたしはうれしくもあれば空恐そらおそろしくもあった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
手文庫てぶんこまことせしが、さてわれゆゑけばうれしきかかなしきか
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしでさへなみだがこぼれるほどうれしきにおまへさまはいしか、さりとは不人情ふにんじようと申ものなり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さのみは愛想あいさううれしがらせをふやうにもなくわがまゝ至極しごく振舞ふるまい
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼はこの雲の峰だか、又巨大な女性だか、殆んど見分けの付かない、な塊を脳中に髣髴ほうふつして、ひそかにうれしがっていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こわいやらうれしいやらで手も足もふるえておりまする。持彦さま、しかと手をおにぎり置きくだされませ。」
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「いつも心ない失礼ばかりいたしましておわび申しあげます。きょうくつろいだお顔を拝して橘はどのようにうれしいことか分りませぬ。」
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
春琴の顔のありかと思われる仄白ほのじろい円光の射して来る方へいた眼を向けるとよくも決心してくれましたうれしゅう思うぞえ
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
僕はもうなんといってこのうれしさを表せばいいのか分らないで、ただ恥しく笑うほかありませんでした。
一房の葡萄 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
他人なら理窟りくつも立つが、自分で自分をきゅきゅ云う目にわせてうれしがってるのは聞えないようだ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お母さんが来たのも夢、マア坊があの三好野みたいな家で泣いたのも夢、と一瞬そんな気がしてうれしかったが、しかし、そうではなかった。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そして読みおわってから庸三が二三批評の言葉を口にすると、彼女は「どうもすみません」と言って、うれしそうにお辞儀をするのであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
嬉しきは月の夜の客人まらうど、つねは疎々うと/\しくなどある人の心安こゝろやすげによりたる、男にてもうれしきを
月の夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)