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一兩年
ことしは
芳之助もはや
廿歳今一兩年經たる
上は
公に
夫とよび
妻と
呼ばるゝ
身ぞと
想へば
嬉しさに
胸をどりて
友達の
嬲ごとも
恥かしく
時なる
哉松澤はさる
歳商法上の
都合に
依り
新田より
一時借り
入れし
二千許の
金ことしは
既に
期限ながら
一兩年引つゞきての
不景氣に
流石の
老舖も
手元豐かならず
殊に
織元その
外にも
仕拂ふべき
金いと
多ければ
新田は
親族の
間柄なり
且は
是迄我が
方より
立かへし
分も
少からねばよもや
事情打あけて
延期を