“憐愍”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
れんびん71.7%
れんみん10.1%
あはれみ9.1%
あわれみ6.1%
あわれ2.0%
れいびん1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たまらない憐愍れんびんがわいて彼はまた直義の枕元に坐り直した。弟は自分のようにずるくなかった。なお置文をたましいとして持っていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千の苦艱くげんもとよりしたるを、なかなかかかるゆたかなる信用と、かかるあたたか憐愍れんみんとをかうむらんは、羝羊ていようを得んとよりも彼は望まざりしなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
じつと松太郎の寝姿を見乍ら、大儀相に枕頭まくらを廻つて、下駄を穿いたが、その寝姿の哀れに小さく見すぼらしいのがお由の心に憐愍あはれみこころを起させた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
米をるのだ、と笑って、それからそれへ花は咲いたのだったが、しかし、気の毒だ、可哀相に、と憐愍あわれみはしたけれども、徹頭徹尾
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
欣弥はこのていを見るより、すずろ憐愍あわれを催して、胸も張り裂くばかりなりき。同時に渠はおのれの職務に心着きぬ。私をもって公に代えがたしと、渠はこぶしを握りてまなこを閉じぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして昼間の相手と比べて、この男のわざの拙劣なのに憐愍れいびんをさえ催していたのであったが、どういうわけか、そうしているうちに結局私は昼間の場合と同じように興奮してしまった。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)