“薄命”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はくめい33.3%
ふしあはせ16.7%
ふしあわせ16.7%
あはれ8.3%
ふうん8.3%
ファタール8.3%
フシアワセ8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし、城太郎の泣きじゃくりがいつまでも耳にこびりついていて、もう頼りびとのない薄命はくめいな少年のおろおろした姿が背中に見える気がしてならない。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吾儕わがみが先立てば誰とて後で父樣とゝさまの御介抱をば申し上ん夫を思へば捨兼すてかねる生命を捨ねば惡名をすゝぐに難き薄命ふしあはせお目覺されし其後に此遺書かきおき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だとて我が今理屈を味方にするでもない、世間を味方にするでもない、汝が手腕うでのありながら不幸せで居るというも知って居る、汝が平素ふだん薄命ふしあわせを口へこそ出さね
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
うす暗ひランプの光…………彼女のすゝり泣く声………………何と云ふ薄命あはれな女であるかとわれをもはず溜息ためいきをついた、やがて汽車はとまつた
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
赤良顔あからがほもしばし煙管きせるいてかなしえた、あゝなんと云ふ薄命ふうんをんなであらうとわれも同情の涙にえなかつた
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
黒いモロッコ皮の表紙をつけた一冊の手帳が薄命ファタールなようすで机の上に載っている。一輪揷しの水仙がその上に影を落している。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
佳人ノ薄命フシアワセ古今何ゾ限リ有ラン。而シテ文士才人ヲシテ長ク魂銷シ腸摧ケシムルモノハ特リ馬嵬ト青塚トニ在リ。然レドモ太真罪業甚ダ重シ。其ノ花鈿委地ノ惨禍亦深ク哀シムニ足ラザルモノ有リ。
青塚ノ説 (新字旧仮名) / 成島柳北濹上漁史(著)