薄命ふしあはせ)” の例文
吾儕わがみが先立てば誰とて後で父樣とゝさまの御介抱をば申し上ん夫を思へば捨兼すてかねる生命を捨ねば惡名をすゝぐに難き薄命ふしあはせお目覺されし其後に此遺書かきおき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だとて我が今理屈を味方にするでもない、世間を味方にするでもない、汝が手腕の有りながら不幸ふしあはせで居るといふも知つて居る、汝が平素ふだん薄命ふしあはせを口へこそ出さね
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
十兵衞感応寺にいたりて朗圓上人にまみえ、涙ながらに辞退の旨云ふて帰りし其日の味気無さ、煙草のむだけの気も動かすに力無く、茫然ぼんやりとしてつく/″\我が身の薄命ふしあはせ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
まあ出来るだけの世話は為たつもり、然し恩に被せるとおもふて呉れるな、上人様だとて汝の清潔きれいな腹の中を御洞察おみとほしになつたればこそ、汝の薄命ふしあはせを気の毒とおもはれたればこそ今日のやうな御諭し
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)