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憐
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あはれ
ふりがな文庫
“
憐
(
あはれ
)” の例文
それから
數日間
(
すうじつかん
)
は
主人
(
しゆじん
)
の
家
(
うち
)
に
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せなかつた。
内儀
(
かみ
)
さんは
傭人
(
やとひにん
)
の
惡戯
(
いたづら
)
を
聞
(
き
)
いて
寧
(
むし
)
ろ
憐
(
あはれ
)
になつて
又
(
また
)
こちらから
仕事
(
しごと
)
を
吩咐
(
いひつ
)
けてやつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
つけるに
外見
(
みえ
)
を捨てその
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
を借り遂に兩杖となりたるぞ
憐
(
あはれ
)
なる道は
捗取
(
はかどら
)
ねど時が經てば腹は减りてまた苦を重ぬるを道人勇みを
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
若者は名は
杜子春
(
とししゆん
)
といつて、元は金持の息子でしたが、今は財産を
費
(
つか
)
ひ
尽
(
つく
)
して、その日の暮しにも困る位、
憐
(
あはれ
)
な身分になつてゐるのです。
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一 王を尊び民を
憐
(
あはれ
)
むは學問の本旨。然らば此天理を極め、人民の義務にのぞみては
一向
(
ひたすら
)
難
(
なん
)
に當り、一同の義を可
キ
レ
立
ツ
事。
遺教
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
熟々
(
つく/″\
)
見て感心なし今の話しには母御の
紀念
(
かたみ
)
の此櫛と云はるゝからは片時も忘れ給はぬ
孝心
(
かうしん
)
を天道樣も
憐
(
あはれ
)
まれ必ず御惠みなるならん能々
父子
(
てゝご
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
たゞ
男
(
をとこ
)
を
怨
(
うら
)
んで
呪
(
のろ
)
ひ、
自分
(
じぶん
)
を
嘲
(
わら
)
ひ、
自分
(
じぶん
)
を
憐
(
あはれ
)
み、
殊
(
こと
)
に
人
(
ひと
)
の
物笑
(
ものわら
)
ひの
的
(
まと
)
となる
自分
(
じぶん
)
を
思
(
おも
)
つては
口惜
(
くや
)
しさに
堪
(
た
)
へられなかつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
火元と認定せらるる
鰐淵方
(
わにぶちかた
)
は
塵一筋
(
ちりひとすぢ
)
だに
持出
(
もちいだ
)
さずして、
憐
(
あはれ
)
むべき一片の焦土を
遺
(
のこ
)
したるのみ。家族の消息は
直
(
ただ
)
ちに警察の
訊問
(
じんもん
)
するところとなりぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
此方
(
このはう
)
から
行
(
ゆ
)
くと
家
(
いへ
)
の
恥辱
(
ちじよく
)
にもなる
實
(
じつ
)
に
憎
(
にく
)
むべき
奴
(
やつ
)
ではあるが、
情實
(
じやうじつ
)
を
酌
(
く
)
んでな、これほどまで
操
(
みさを
)
といふものを
取止
(
とりと
)
めて
置
(
お
)
いただけ
憐
(
あはれ
)
んで
遣
(
や
)
つて
呉
(
く
)
れ
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼の眼にはかくも深い悔いが、彼の調子にはかくも眞實な
憐
(
あはれ
)
みがあり、彼の振舞ひにはかくも男らしい力があつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
忽然
(
こつぜん
)
八十余名の大多数を議会に送ることを得たりしなり、独逸社会党の勝利は主義に
繋
(
つな
)
がるゝ全
兄弟
(
けいてい
)
の勝利なり、独逸皇帝、彼は
憐
(
あはれ
)
むべき一個の
驕慢児
(
けふまんじ
)
なるのみ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
又罪を犯すものの
恕
(
ゆる
)
すべくして且
憐
(
あはれ
)
むべきを知りぬ、一挙手一投足わが運命に関係あるを知りぬ、「サツカレー」の小説を読んで正直なるものの馬鹿らしきを知りぬ
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
亦
憐
(
あはれ
)
むべからずや。(中略)今日の如き、実に天地
開闢
(
かいびやく
)
以来興治の機運なるが故に、海外の諸国、天理の自然に基き、開悟発明、文化の域に至らむとする者少からず。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
此
夫婦
(
ふうふ
)
心
(
こゝろ
)
正直
(
しやうぢき
)
にして
親
(
おや
)
にも
孝心
(
かうしん
)
なる者ゆゑ、人これを
憐
(
あはれ
)
みまづしばらく
我
(
わ
)
が家に
居
(
を
)
るべしなど
奨
(
すゝむ
)
る
富農
(
ふのう
)
もありけるが、われ/\は
奴僕
(
ぬぼく
)
の
業
(
わざ
)
をなしても
恩
(
おん
)
に
報
(
むく
)
ゆべきが
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
春でもないのに、お前はどうして鶯笛なんか吹くのか、と良寛さんは心の中でその子を
憐
(
あはれ
)
んだ。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
時々
(
とき/″\
)
黒
(
くろ
)
いものがスツスツと
通
(
とほ
)
るが、
犬
(
いぬ
)
だか
人間
(
にんげん
)
だか
差別
(
さべつ
)
がつかぬ……
客人
(
きやくじん
)
は
変
(
へん
)
に
成
(
な
)
つた、
気
(
き
)
が
違
(
ちが
)
つた、と
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
が
嘲
(
あざ
)
ける
如
(
ごと
)
く、
憐
(
あはれ
)
む
如
(
ごと
)
く、
呟
(
つぶや
)
く
如
(
ごと
)
く、また
咒咀
(
のろ
)
ふ
如
(
ごと
)
く
耳
(
みゝ
)
に
入
(
はい
)
る……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
六三
渠
(
かれ
)
は播磨の
六四
印南野
(
いなみの
)
の者なるが、親もなき身の
六五
浅ましくてあるを、いと
六六
かなしく思ひて
憐
(
あはれ
)
をもかけつるなり。我に捨てられなば、はた
六七
船泊
(
ふなとま
)
りの
妓女
(
うかれめ
)
となるべし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
また
何處
(
いづこ
)
にか
他
(
ほか
)
に
居
(
ゐ
)
る事能はずして苦む
目付
(
めつき
)
あり、げに
憐
(
あはれ
)
むに堪へたるかな。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
其後
荊棘
(
けいきよく
)
の為めに
悉
(
こと/″\
)
く
破壊
(
はくわい
)
せられ、躰を
被
(
お
)
ふべきもの
更
(
さら
)
に無く、全身
挙
(
こぞ
)
りて
覆盆
(
ふくぼん
)
の雨に
暴露
(
ばうろ
)
せらる、
其状
(
そのじやう
)
誠に
憐
(
あはれ
)
むに
堪
(
た
)
へたり、衆相対して
眼
(
め
)
を
開
(
ひら
)
くも
閴
(
げき
)
として
声
(
こゑ
)
なく、
仰
(
あほ
)
ぎて天の無情を
歎
(
たん
)
す
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
悲しむ兩馬見おろして
憐
(
あはれ
)
催すクロニオーン、 440
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
憎むべく、
咀
(
のろ
)
ふべく、
憐
(
あはれ
)
むべく
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
さもこそと、
憐
(
あはれ
)
み給へ
あはれ今
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そのすがたをば
憐
(
あはれ
)
みて
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
憐
(
あはれ
)
み
顔
(
がお
)
のおとどひは
茴香
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
それを世間一般は、どう云ふ量見か黙殺してしまつて、あの
憐
(
あはれ
)
む
可
(
べ
)
き
女
(
ぢよ
)
主人公をさも人間ばなれのした烈女であるかの如く広告してゐる。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
土塊
(
どくわい
)
の
如
(
ごと
)
く
動
(
うご
)
かぬ
彼
(
かれ
)
の
身體
(
からだ
)
からは
憐
(
あはれ
)
に
微
(
かす
)
かな
煙
(
けぶり
)
が
立
(
た
)
つて
地
(
ち
)
を
偃
(
は
)
うて
消
(
き
)
えた。
藁
(
わら
)
の
火
(
ひ
)
を
沿
(
あ
)
びた
時
(
とき
)
其
(
そ
)
の
火
(
ひ
)
が
襤褸
(
ぼろ
)
な
彼
(
かれ
)
の
衣物
(
きもの
)
を
焦
(
こが
)
したのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
憐
(
あはれ
)
み
何時迄
(
いつまで
)
狂氣
(
きやうき
)
でも有まじ其内には
正氣
(
しやうき
)
に成るべしとて
連
(
つれ
)
歸り是も
隱居所
(
いんきよじよ
)
へ入置
遣
(
つか
)
はせしに
追々
(
おひ/\
)
正氣に
相成
(
あひなり
)
ければ又々以前の如く
産婦
(
さんぷ
)
の
取揚
(
とりあげ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そんなら
其子
(
そのこ
)
は
亡
(
な
)
くなつてか、
可憐
(
かわい
)
さうなと
奧
(
おく
)
さま
憐
(
あはれ
)
がり
給
(
たま
)
ふ、
福
(
ふく
)
は
得意
(
とくい
)
に、
此戀
(
このこひ
)
いふも
言
(
い
)
はぬも
御座
(
ござ
)
りませぬ、
子供
(
こども
)
の
事
(
こと
)
なれば
心
(
こゝろ
)
にばかり
思
(
おも
)
ふて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
誰一人、彼女の地位や、雇入に就いて、話し合ふ者もなく、誰一人、彼女の獨居や、隔離を
憐
(
あはれ
)
む者もなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
翌
(
よく
)
廿
(
にぢう
)
三年の七月になると、
未
(
ま
)
だ
妄執
(
まうしう
)
が
霽
(
は
)
れずして、
又々
(
また/\
)
江戸紫
(
えどむらさき
)
と
云
(
い
)
ふのを出した、
是
(
これ
)
が九号の
難関
(
なんくわん
)
を
踰
(
こ
)
へたかと思へば、
憐
(
あはれ
)
むべし、
其
(
そ
)
の
歳
(
とし
)
の
暮
(
くれ
)
十二号にして、
又
(
また
)
没落
(
ぼつらく
)
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
此
夫婦
(
ふうふ
)
心
(
こゝろ
)
正直
(
しやうぢき
)
にして
親
(
おや
)
にも
孝心
(
かうしん
)
なる者ゆゑ、人これを
憐
(
あはれ
)
みまづしばらく
我
(
わ
)
が家に
居
(
を
)
るべしなど
奨
(
すゝむ
)
る
富農
(
ふのう
)
もありけるが、われ/\は
奴僕
(
ぬぼく
)
の
業
(
わざ
)
をなしても
恩
(
おん
)
に
報
(
むく
)
ゆべきが
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
さうして私の
希臘
(
ギリシア
)
神話に
於
(
おけ
)
る知識も
亦
(
また
)
これに劣らぬ程
憐
(
あはれ
)
なものなのに過ぎません。
『伝説の時代』序
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
父母、太郎夫婦、此の恐ろしかりつる事を聞きて、いよよ豊雄が
過
(
あやまち
)
ならぬを
憐
(
あはれ
)
み、かつは
妖怪
(
もののけ
)
の
執
(
しふ
)
ねきを恐れける。かくて
三〇一
鰥
(
やむを
)
にてあらするにこそ。妻むかへさせんとてはかりける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
加
(
くわ
)
ふるに
寒風
(
かんき
)
を以てし天地
将
(
まさ
)
に大に
暴
(
あ
)
れんとす、
嗟呼
(
ああ
)
昨日迄は唯一回の
細雨
(
さいう
)
ありしのみにして、
殆
(
ほとん
)
ど
晴朗
(
せいろう
)
なりし為め終夜
熟睡
(
じゆくすゐ
)
、以て一日の
辛労
(
しんらう
)
を
軽
(
かろ
)
んずるを得たるに、天未だ我一行を
憐
(
あはれ
)
まざるにや
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
老人
(
らうじん
)
は
口
(
くち
)
をあいて
笑
(
わら
)
ひ、いや
珍
(
めづら
)
しくもない、まゝあること、
俄
(
にはか
)
の
雪
(
ゆき
)
に
降籠
(
ふりこ
)
められると、
朋
(
とも
)
に
離
(
はな
)
れ、
塒
(
ねぐら
)
に
迷
(
まよ
)
ひ、
行方
(
ゆくへ
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
食
(
じき
)
に
饑
(
う
)
ゑて、
却
(
かへ
)
つて
人
(
ひと
)
に
懷
(
なづ
)
き
寄
(
よ
)
る、これは
獵師
(
れふし
)
も
憐
(
あはれ
)
んで、
生命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
らず、
稗
(
ひえ
)
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
憐
(
あはれ
)
み給へ、
收穫時
(
とりいれどき
)
の
病人
(
びやうにん
)
のやうに、
小股
(
こまた
)
にて出て來る目付を。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
よき
驛
(
しゆく
)
なりしならん大きな宿屋
荒果
(
あれはて
)
て
憐
(
あはれ
)
なり
此
(
こゝ
)
に木曾義仲
馬洗
(
うまあらひ
)
の水といふ有りといへど見ず例の露伴子愛着の美人も尋ねずわづかに痩馬に一息させしのみにて亦驅け
出
(
いだ
)
す此宿より
美濃
(
みの
)
の
國境
(
くにさかひ
)
馬籠
(
まごめ
)
までの間の十三宿が即ち木曾と總稱する所なり誠に木曾に
入
(
い
)
りしだけありて
此
(
これ
)
より
景色
(
けいしよく
)
凡ならず谷深く山聳へ岩に觸るゝ水
生茂
(
おひしげ
)
る木皆な新たに生面を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
我我ははげしい愛や、憎しみや、
憐
(
あはれ
)
みや、不安を経験した。在来、我我のとりあつかつた人間の心理は、どちらかといへばデリケエトなものである。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
明
(
あけ
)
ぬれば月は空に
還
(
かへ
)
りて
名残
(
なごり
)
もとゞめぬを、
硯
(
すずり
)
はいかさまに
成
(
なり
)
ぬらん、
夜
(
よ
)
な/\影や
待
(
まち
)
とるらんと
憐
(
あはれ
)
なり。
月の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
逐
(
ちく
)
一に
白状
(
はくじやう
)
には
及
(
および
)
ぬ
然
(
され
)
ば殺害せしと思ふ當人を
取逃
(
とりにが
)
し殊に御
法度
(
はつと
)
の
一人旅
(
ひとりたび
)
を
泊
(
とめ
)
し
落度
(
おちど
)
の申譯立ちがたく罪は徳右衞門一人に
歸
(
き
)
し長き
牢舍
(
らうしや
)
のうち
憐
(
あはれ
)
むべし
渠
(
かれ
)
は
牢死
(
ろうし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
春の
色香
(
いろか
)
に
出
(
い
)
でたるは
憐
(
あはれ
)
むべく、
打霞
(
うちかす
)
める空に
来馴
(
きな
)
るる
鵯
(
ひよ
)
のいとどしく
鳴頻
(
なきしき
)
りて、午後二時を過ぎぬる院内の
寂々
(
せきせき
)
たるに、たまたま響くは患者の廊下を
緩
(
ゆる
)
う行くなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かの
両親
(
ふたおや
)
は夫婦
娵
(
よめ
)
の家に
一宿
(
とまりし
)
とのみおもひをりしに、
死骸
(
しがい
)
を見て
一言
(
ひとこと
)
の
詞
(
ことば
)
もなく、
二人
(
ふたり
)
が
死骸
(
しがい
)
にとりつき
顔
(
かほ
)
にかほをおしあて大
声
(
こゑ
)
をあげて
哭
(
なき
)
けるは、見るも
憐
(
あはれ
)
のありさま也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
僕がオリヴァさんの前で
赧
(
あか
)
くなつたり、顫へたりしても、僕は、僕を
憐
(
あはれ
)
まない。僕はその弱さを罵る。それは、
卑
(
いや
)
しむべきこと、肉の熱に過ぎない、斷言しますが、魂の緊張ではない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
君
公庁
(
おほやけ
)
に召され給ふと聞きしより、かねて
憐
(
あはれ
)
をかけつる隣の
翁
(
おきな
)
をかたらひ、
頓
(
とみ
)
に
二三四
野らなる宿のさまをこしらへし。我を
捕
(
とら
)
んずときに
鳴神
(
なるかみ
)
響
(
ひび
)
かせしは、まろやが
二三五
計較
(
たばか
)
りつるなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
目前
(
もくぜん
)
に
其
(
その
)
萎
(
しを
)
れた
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
ると
有繋
(
さすが
)
に
憐
(
あはれ
)
に
成
(
な
)
つて
叱
(
しか
)
る
處
(
どころ
)
ではなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
憐
(
あはれ
)
み給へ、食事の時に
迷兒
(
まひご
)
となりしやうなる
目付
(
めつき
)
を。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
これほどまで
操
(
みさを
)
といふものを取止めて置いただけ
憐
(
あはれ
)
んで遣つてくれ、愚鈍ではあるが子供の時からこれといふ
不出来
(
ふでか
)
しも無かつたを思ふと何か残念の様にもあつて
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さうして
孰
(
いづれ
)
が多く
憐
(
あはれ
)
むべきであるかと謂へば、間の無念は
抑
(
そもそも
)
どんなぢやらうか、なあ、僕はそれを思ふんです。それを思うて見ると、貴方の苦痛を傍観するより外は無い。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼等の
一人
(
ひとり
)
、僕を
憐
(
あはれ
)
んで
曰
(
いはく
)
、「注射でもなすつたら、よろしうございませうに。」
病牀雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
神明かの男が
実心
(
まごゝろ
)
を
憐
(
あはれ
)
み、人々のいのりをも
納受
(
なふじゆ
)
まし/\けん、かの娘目の
覚
(
さめ
)
たるがごとくおきあがり母をよびければ、
衆
(
みな
)
奇異
(
きゐ
)
のおもひをなし、むすめの
側
(
そば
)
にあつまりていかに/\といふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
が、何か僕自身を
憐
(
あはれ
)
みたい気もちもない
訣
(
わけ
)
ではなかつた。
都会で
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
憐
漢検準1級
部首:⼼
16画
“憐”を含む語句
可憐
憐憫
憐愍
哀憐
相憐
愛憐
御憐愍
御憐憫
御憐
憐々
紅顔可憐
眼見若為憐
可憐也
生類憐
生類御憐愍
未憐
最憐
憫憐
憐然
可憐児
...