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産婦
憐み
何時迄狂氣でも有まじ其内には
正氣に成るべしとて
連歸り是も
隱居所へ入置
遣はせしに
追々正氣に
相成ければ又々以前の如く
産婦の
取揚を
彼女は、
産婦のように血の
気が薄らいでいる。しかも一大危険を
冒したという得意さがつつみきれず、ていねいに
繃帯を巻いた指を前のほうへ差し出している。
其年九月のはじめ
安産してしかも男子なりければ、
掌中に
珠を
得たる
心地にて
家内悦びいさみ、
産婦も
健に
肥立乳汁も一子に
余るほどなれば
小児も
肥太り
可賀名をつけて
千歳を
寿けり。