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取揚
書林の
奴等に何程の智恵もありはしない、
高の知れた町人だ、何でも
一切の権力を
取揚げて
此方のものにして
遣ろうと説を
定めた。定めたは
宜いが実は望洋の歎で、少しも
取付端がない。
と
香炉を手に
取揚げ、
銀の
匙で
火の
附いた
香を口へ入れ、弥
憐み
何時迄狂氣でも有まじ其内には
正氣に成るべしとて
連歸り是も
隱居所へ入置
遣はせしに
追々正氣に
相成ければ又々以前の如く
産婦の
取揚を
持て私が取に
來る
然し事に
寄と
來れぬ時は御
前の内へ
直樣取に
遣から一寸請取を
書て
下さいと云ふにぞ道具屋は
書付を
認め
判迄捺て出しければ直八手に
取揚て
讀けるに