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憫
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あはれ
ふりがな文庫
“
憫
(
あはれ
)” の例文
貫一は知らざる如く、
彼方
(
あなた
)
を向きて答へず。
仔細
(
しさい
)
こそあれとは覚ゆれど、例のこの人の無愛想よ、と満枝は
傍
(
よそ
)
に見つつも
憫
(
あはれ
)
に
可笑
(
をかし
)
かりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
憫
(
あはれ
)
むやうな千種の眼が、ちらりとこつちを見た。と、同時に彼女は、袂で顔をおほつた。肩が大きく揺れてゐるだけである。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
然りと雖も彼が酒を嗜む
太甚
(
はなはだ
)
しきに至りし所以のもの実に其父を喪ひたる無限の憂愁を散ぜんとするに由る。果して然らば彼の志亦
憫
(
あはれ
)
むべき也。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
... 此様な作に
執着
(
しうちやく
)
があるやうじや、俺も
憫
(
あはれ
)
な人間だ………」と思ふ。そして、「あゝ。」と
萎頽
(
がツかり
)
したやうな
歎息
(
ためいき
)
する。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
かくの如く、自分を
憫
(
あはれ
)
むの情は、かれの空想的の死を一層合理的なものとなし、且また悲壯的のものとなした。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
▼ もっと見る
私は自分の義務と信ずる所を行ふ外には、
憫
(
あはれ
)
みも悔いも知らぬ男に
對
(
むか
)
つて訴へた。彼は續けて云つた——
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
憫
(
あはれ
)
むべし、燈火は客を守るべき職に忠信にして、客は臥中にあれども既に無きを知らざるなり。
松島に於て芭蕉翁を読む
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
おん身等もかしこに跪きては、慈悲を願ひ給ふならずや。我はおん身等に對して何の
辜
(
つみ
)
をもおかしゝことなし。我髮の白きを
憫
(
あはれ
)
み給はゞ、
恙
(
つゝが
)
なく家に歸らしめ給へといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
我は
久遠
(
くをん
)
の真理をたづね、妻は
現世
(
げんぜ
)
の虚栄に奔る。我深く妻を
憫
(
あはれ
)
めども妻の為に道を棄て、親を棄て、己れを棄つる能はず。真実二途なし。乃ち心を決して相別る。その前後の歌。
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
英吉利
(
イギリス
)
留学の三年間、予がハイド・パアクの芝生に立ちて、如何に
故園
(
こゑん
)
の
紫藤花下
(
しとうくわか
)
なる明子を
懐
(
おも
)
ひしか、或は又予がパルマルの街頭を歩して、如何に天涯の遊子たる予自身を
憫
(
あはれ
)
みしか
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
……外の兄弟は皆んな好きな學問をしてゐるのに、辰さんばかりは一生こんな汚い村の先生をして暮すんだもの、可哀さうだ。お父さんが不公平だと、兄の身の上を不仕合せな人として
憫
(
あはれ
)
んだ。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
人殺
(
ひとごろ
)
しを
憫
(
あはれ
)
むは
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
すにひとしいわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
さるは
独
(
ひと
)
り夫のみならず、本家の両親を
始
(
はじめ
)
親属
知辺
(
しるべ
)
に至るまで一般に彼の病身を
憫
(
あはれ
)
みて、おとなしき嫁よと
賞
(
ほ
)
め
揚
(
そや
)
さぬはあらず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ロチスター氏と彼の運命に
戰
(
をのゝ
)
き、深い
憫
(
あはれ
)
みで彼を哀しみ、絶えざる憧れを以て彼を呼び、恰ら雙の翼を碎かれた小鳥のやうに空しく、なほも打たれた翼を顫はせながら
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
まことに宜給ふ如し。されどそを憂へずして、彼家々に
栖
(
す
)
める人の笑ひ樂みて日を送れるこそ神の惠ならめ。神は
憫
(
あはれ
)
むべき人類のために、おそろしき地下のさまを掩ひ隱し給ふとおぼし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
独り茶山の彼が才を愛して其薄命を
憫
(
あはれ
)
み誦讐応和以て日を度るあるのみ。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
「宮!」と
奮
(
ふる
)
つて呼びしかど、
憫
(
あはれ
)
むべし、その声は苦き
喘
(
あへぎ
)
の如き者なりき。我と吾肉を
啖
(
くら
)
はんと想ふばかりに
躁
(
あせ
)
れども、貫一は既に声を立つべき力をさへ失へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
歌の聲に
醒
(
さ
)
むれば、石垣の頂には日の光かゞやき、「カツプチノ」僧二三人蝋燭を
把
(
と
)
りて卓より卓に歩みゆきつゝ、「キユリエ、エレイソン」(主よ、
憫
(
あはれ
)
め)と歌へり。僧は十字架に來り近づきぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
憫
漢検1級
部首:⼼
15画
“憫”を含む語句
憫然
憐憫
可憫
不憫
御憐憫
御不憫
憫殺
憫笑
燐憫
憫察
恭憫恵
相憫
憫憐
御憫笑可被下度候
御憫笑
御憫察
御憫
不憫千万