可傷あはれ)” の例文
ゆびさし乍ら熟柿じゆくしくさ呼吸いきを吹いた。敬之進は何処かで飲んで来たものと見える。指された少年の群は一度にどつと声を揚げて、自分達の可傷あはれな先生を笑つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
大丼が出たり、小皿が出たりするところを見ると、何が無くとも有合ありあはせのもので一杯出して、地主に飲んで貰ふといふ積りらしい。思へば小作人の心根こゝろね可傷あはれなものである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)