“いぢ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
25.0%
意地21.2%
20.2%
11.5%
6.7%
3.8%
3.8%
可憐1.9%
1.0%
1.0%
苛責1.0%
萎縮1.0%
1.0%
1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
けれどもチヨンはうつむいて川原の砂をいぢくつて居るばかりで親猿の所へ行かうとはしないのです。与兵衛はポロ/\涙を流しながら
山さち川さち (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
てん恩惠めぐみかさね/″\くだり、幸福かうふく餘所行姿よそゆきすがた言寄いひよりをる。それになんぢゃ、意地いぢくねのまがった少女こめらうのやうに、口先くちさきとがらせて運命うんめいのろひ、こひのろふ。
「いけないね、秀ちやんは」と、おつねが二人の横に立つて、——「うちの子をいぢめると承知しないから、さア、仲直りなさいよ」
一の酉 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
何故外の用を先にしたと言つて給仕をいぢめてゐたつけが、感情を發表するに正直だといふ點では、我々は遠く逢坂に及ばないよ。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
根生こんじやうまがりの、ひねつこびれの、どんもりの、はッかけの、嫌やな奴め、這入つて來たら散々といぢめてやる物を、歸つたは惜しい事をした、どれ下駄をお貸し、一寸見てやる
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どうでせう、省吾の奴も君の御厄介に成つてるが、彼様あんな風で物に成りませうか。もう少許すこし活溌だと好いがねえ。どうも女のやうな気分の奴で、泣易くて困る。平素しよツちゆう弟にいぢめられ通しだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
とさへ思つた父! われ/\少年時代の幸福の全部を引浚ひきさらつて行つてしまつた父! その父のためにこそわれ/\兄妹はどんなに悲しいいぢけた生活をして来たことか?
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
見榮も恰好もなく着るによいだけ厚着をして、どれも皆元氣よく野獸のやうに強い響きをもつた、しかし其のなかに異樣なくらゐ可憐いぢらしさの籠つた言葉でもつて、大聲に喚き合はしてゐる。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
御自分ごじぶんはかくしたまへども、他所行着よそゆきぎのおたもよりぬひとりべりの手巾はんけちつけしたるときくさ、散々さん/″\といぢめていぢめて、いぢいて、れからはけつしてかぬ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さもしく或は軽浮であらうとも俺にはまた却てその無邪気と痴態とがしほらしくも亦いぢらしく思はれたのだつた……そればかりか俺も亦釣られて栗鼠のやうに飛びあるいた……而しておしまひには二人とも監獄に堕ちて了つた……兎に角……と又右の眼がぢつ霊魂たましひに喰ひ入るやうに覗き込む……汝達おまへたちはあまりに夢想家だつた
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
弱い兎を、苛責いぢめる牝豹か何かのやうに、瑠璃子は何処までも、皮肉に逆に逆に出るのであつた。美奈子は、青年の顔を見るのに堪へなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
痛み易い少年期に於いて圭一郎をどれほど萎縮いぢけさしたことかしれない——圭一郎は、一日に一回は
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
悪戯な頑童わんぱくどのに頸へ縄をくゝし附けられて病院の原に引摺られ、散三さんざいぢめられた上に古井戸の中へ投込まれやうとした処を今の旦那に救けられたのだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
いぢめるやうにして可愛がるといふのが、かれ等の性慾ですよ。だから小さければ小さいほど好いんです、……
一室 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)