いぢ)” の例文
する私じやない。いぢめて腹が癒る事なら、なんぼなりとも、窘めなさんせ。どふせ濡衣着た身体。乾さうと思へば、気も揉める。湯なと水なと掛けたがよい
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
根生こんじやうまがりの、ひねつこびれの、どんもりの、はッかけの、嫌やな奴め、這入つて來たら散々といぢめてやる物を、歸つたは惜しい事をした、どれ下駄をお貸し、一寸見てやる
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかしこんな稼業のものにはめづらしい正直な淡白さつぱりした江戸兒風の男で、御用をかさに着て弱い者をいぢめるなどといふ惡い噂はかつて聞えたことがなかつた。彼は誰に對しても親切な男であつた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
そこでは一緒に雇はれて行つた日本人の一番の給仕人にうんといぢめられた。
甚之助じんのすけかぎりなく口惜くやしがり、父君ちヽぎみなげ母君はヽぎみめ、長幼ふたり令孃ひめあたりあるきて、中姉樣ちうねえさまいぢすことヽらみ、ぼくをも一處ともにやれとまり、令孃ひめむかへばわけもなくあまへて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はツかけの、やなやつめ、這入はいつてたら散々さん/″\いぢめてやるものを、かへつたはしいことをした、どれ下駄げたをおし、一寸ちよつとてやる、とて正太しようたかわつてかほせばのきあまだれ前髮まへがみちて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どんもりの、はッかけの、嫌やな奴め、這入つて来たら散々といぢめてやる物を、帰つたは惜しい事をした、どれ下駄をお貸し、一寸ちよと見てやる、とて正太に代つて顔を出せば軒の雨だれ前髪に落ちて
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)