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弄
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いぢ
ふりがな文庫
“
弄
(
いぢ
)” の例文
みのるが頻りに髮を
弄
(
いぢ
)
り初めたのもその頃であつた。みのるは一日置きのやうに池の端の髮結のところまで髮を結にゆく癖がついた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
けれどもチヨンはうつむいて川原の砂を
弄
(
いぢ
)
くつて居るばかりで親猿の所へ行かうとはしないのです。与兵衛はポロ/\涙を流しながら
山さち川さち
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
與吉
(
よきち
)
はおつぎに
抱
(
だ
)
かれる
時
(
とき
)
いつも
能
(
よ
)
くおつぎの
乳房
(
ちぶさ
)
を
弄
(
いぢ
)
るのであつた。
五月蠅
(
うるさ
)
がつて
邪險
(
じやけん
)
に
叱
(
しか
)
つて
見
(
み
)
ても
與吉
(
よきち
)
は
甘
(
あま
)
えて
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「もう飛んでつた。鳥だらう?」と冷吉は、母の後の片隅に、用事もなく手先を
弄
(
いぢ
)
つて坐つてゐるらしい傭ひ女に向つて聞いた。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
だが、主人利藻氏は、古い骨董物ばかり
弄
(
いぢ
)
くつては居ないといふ証拠に、その真中に若い女を一人置いてゐた。女は美しい豆千代であつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
今度は相撲の稽古を思ひ立ち師匠には
大錦卯一郎君
(
おおにしきういちらうくん
)
を見立てた。何も素人の痩つぽちを
弄
(
いぢ
)
くつて貰ふのに
斯程
(
かほど
)
の大力士を煩はさんでもよいのである。
相撲の稽古
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
蹂躙
(
じふりん
)
して、
恰
(
まる
)
で化學者が藥品を分析するか、動物學者が蟲けらでも
弄
(
いぢ
)
くるやうな眞似をするのですから。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
初め
剃刀
(
かみそり
)
を
弄
(
いぢ
)
つてゐたのを看護婦が
騙
(
だま
)
して取り上げたんやが、其の次ぎにまた
匕首
(
あひくち
)
を弄つてたのを見付けたんで、取り上げて了ふと、それから
暴
(
あば
)
れ出したんだすな。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
例
(
いつも
)
の様に戸外に出もせず、日が暮れるまで大きい囲炉裏の隅に
蹲
(
うずくま
)
つて、浮かぬ顔をして火箸許り
弄
(
いぢ
)
つてゐたので、父は夕飯が済んでから、黒い羊※を二本買つて来て呉れて
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
唯
(
たゞ
)
に
醫者
(
いしや
)
として、
邊鄙
(
へんぴ
)
なる、
蒙昧
(
もうまい
)
なる
片田舍
(
かたゐなか
)
に一
生
(
しやう
)
、
壜
(
びん
)
や、
蛭
(
ひる
)
や、
芥子粉
(
からしこ
)
だのを
弄
(
いぢ
)
つてゐるより
外
(
ほか
)
に、
何
(
なん
)
の
爲
(
な
)
す
事
(
こと
)
も
無
(
な
)
いのでせうか、
詐欺
(
さぎ
)
、
愚鈍
(
ぐどん
)
、
卑劣漢
(
ひれつかん
)
、と一
所
(
しよ
)
になつて、いやもう!
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
塚本は顔を一寸向けて新見の顔を見たが、また右の手で羽織の紐を
弄
(
いぢ
)
りながら
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
小づき廻すといふに語弊があつたら
寵
(
ちよう
)
して気にして
弄
(
いぢ
)
くつて仕方のないものだ。
花は勁し
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「知つてゐますとも——あれは君、僕等と同じく
刷毛
(
はけ
)
や絵具を
弄
(
いぢ
)
る奴ですよ」
アカシヤの花
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
のみならず以来は
長吉
(
ちやうきち
)
に
三味線
(
しやみせん
)
を
弄
(
いぢ
)
る事をば
口喧
(
くちやかま
)
しく禁止した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
御爺
(
おぢい
)
さんは
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
り
植木
(
うゑき
)
を
弄
(
いぢ
)
つてゐるかい」
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼方
(
かなた
)
の縁に水鉄砲を
弄
(
いぢ
)
り
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
黄色いねばつちを
弄
(
いぢ
)
つて
小熊秀雄全集-02:詩集(1)初期詩篇
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
おくみはしばらくそのまゝそこに坐つて、糸屑の落ちてゐたのを爪先で
弄
(
いぢ
)
つたりしながら、こんなことを話してゐた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
田中氏は心持後に反りかへつて、
胸衣
(
チヨツキ
)
の
胸釦
(
むなぼたん
)
を
弄
(
いぢ
)
りながら「真理」を語つた
後
(
あと
)
の愉快さといつたやうな顔をしてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
手
(
て
)
ランプのぼうと
立
(
た
)
つ
油煙
(
ゆえん
)
がほぐれた
髮
(
かみ
)
へ
靡
(
なび
)
き
掛
(
かゝ
)
るのも
知
(
し
)
らずにおつぎはそつちこつちへ
單衣
(
ひとへ
)
を
弄
(
いぢ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「さうだツか、あんたは女護の島ちうとこへ行きなはつたことあるんやな、えらい運のえゝ人や。」とお光は相變らず細い指で太い火箸を
弄
(
いぢ
)
りながら、嘲る風をして言つた。
兵隊の宿
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
みのるの自分の藝に對する正直な心が、自から
打捨
(
うつちや
)
つた作をその儘明るい塲所へ持ち出すといふ樣な人を食つた考へに中々陷らせなかつた。みのるは何時までもその前半を
弄
(
いぢ
)
つてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
日が暮れるまで大きい
圍爐裏
(
ゐろり
)
の隅に
蹲
(
うづくま
)
つて、浮かぬ顏をして火箸許り
弄
(
いぢ
)
つてゐたので、父は夕飯が濟んでから、黒い羊羹を二本買つて來て呉れて、お前は一番
稚
(
ちいさ
)
いのだからと言つて慰めて呉れた。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
おくみは、腰をかけるところに立つて、
悄
(
しよ
)
んぼりと窓の硝子の縁を
弄
(
いぢ
)
つてゐられる坊ちやんを抱くやうにして言つた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
軍医は物珍らしさうに指さきでそこを
弄
(
いぢ
)
り廻して、いろんな事を訊いてゐたが、それだけでは
何
(
ど
)
うも腑に落ちないので、最後にこんな事を言つて訊いた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
火
(
ひ
)
を
弄
(
いぢ
)
ることが
危
(
あぶな
)
いので
與吉
(
よきち
)
は
獨
(
ひと
)
りで
竈
(
かまど
)
へ
手
(
て
)
をつけることは
禁
(
きん
)
ぜられて
居
(
ゐ
)
る。
灰
(
はひ
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
い
)
れたばかりで
與吉
(
よきち
)
は
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「午後三時三十分だしたなア。」と、道臣は大きな銀側時計を
弄
(
いぢ
)
りつゝ言つたが、
軈
(
やが
)
て
居室
(
ゐま
)
へ退いてまた酒を始めた。京子の枕元には、お時が一人
團扇
(
うちは
)
を持つて附いてゐた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
手に持つてるみのるの名刺を
弄
(
いぢ
)
りながら、小山はみのると話をした。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
でも芸といふものは嬉しいもので、鋏なしの造花を
弄
(
いぢ
)
くる婦人達は、何かの間違で監獄に入つても、まあ退屈なしにその日を送る事が出来ようといふものさ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
洗吉さんはいつも寝がけには、その間がもぢ/\されるやうに仰りながら長火鉢の抽斗の
鐶
(
くわん
)
を
弄
(
いぢ
)
つたりなさつて、おくみが縫物の針を送り/\する前に坐つてお出でになつたりした。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
煙草を詰めた
煙管
(
きせる
)
を空しく
弄
(
いぢ
)
りながら、
対
(
むか
)
う
河岸
(
がし
)
の美しい灯の影を眺めてゐた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「諸君は朝から晩まで金を
弄
(
いぢ
)
くり廻してゐられるが、一体一億円の金塊の大きさは
何
(
ど
)
の位あると思ひます。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
刃物
弄
(
いぢ
)
りさへせんと、まだ置いといてもよいのやが、と院長がいうてました。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
この小説家は自分の手紙が、死後に心ないものの手で
弄
(
いぢ
)
くりまはされるのをきらつたやうに、自分の知人の書信をも、そのいやな運命から救はうとしたのであつた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と言ひ/\、老僧は其の點火器を
弄
(
いぢ
)
つてゐた。
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
多くの兵卒が風琴を鳴らしたり、
骨牌
(
かるた
)
を
弄
(
いぢ
)
つたりしてゐるなかに、たつた一人、一番
年齢
(
とし
)
の若さうなのが、人の居ない隅つこで、じつと書物に読み
耽
(
ふけ
)
つてゐるのが将軍の気をひいた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
元の樣子で旅支度のものを
弄
(
いぢ
)
つてゐた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「ほう、
生命
(
いのち
)
の恩人だと仰有るか。」
件
(
くだん
)
の亜米利加人は、支那に
生命
(
いのち
)
といふものが唯の一つでもあるのを、そのまた
生命
(
いのち
)
を
弄
(
いぢ
)
らうといふお医者があるのを不思議でならないやうに言つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
弄
常用漢字
中学
部首:⼶
7画
“弄”を含む語句
嘲弄
玩弄
玩弄物
手弄
翻弄
玩弄品
翫弄
飜弄
戯弄
調弄
翫弄物
愚弄
弄花
弄斎節
弄殺
弄戯
弄物
弄品
如法玩弄
御弄
...