“稚”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おさな36.0%
わか14.3%
をさな14.3%
おさ12.4%
ちいさ5.0%
いとけな5.0%
ワカ3.1%
ちひさ2.5%
いと1.2%
いとけ1.2%
ちい1.2%
いはけな0.6%
いわけ0.6%
おさなき0.6%
0.6%
0.6%
をさ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは俳句には限らぬが、総ての技芸について見ても、始めのおさない時は同一の団体に属して居るものはほぼ同一の径路をたどって行く。
病牀苦語 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
不規則な池を人工的にこしらえて、その周囲にわかい松だの躑躅つつじだのを普通の約束通り配置した景色は平凡というよりむしろ卑俗であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
同時に、まだ電灯が普及しない時分、かゝる薄暗い灯火の光をたよりに自分はをさない恋の小説を書き始めた昔の追憶に打沈められる。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
まだおさない九歳ここのつの子ではあるが、軽く抱いて、置き換えられないようなおおきさというか、気品というか、威というか、そんな気持をうけた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぜんに奉公していたやしきで、ことのほか惜しまれたということ、ちいさい時分から、親や兄に、口答え一つしたことのない素直な性質だということも話した。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
鼻のあたまに汗をかいて大正琴を弾いていたいとけないふりはもう見られなかった。私には彼女が自分より年うえのような気さえした。
朴歯の下駄 (新字新仮名) / 小山清(著)
兄に対してオホある如く、弟に対してワカを用ゐて、次位の高級神女を示す風から見れば、弟にも多数と次位の一人とを使ひわけたのだ。
水の女 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ちひさい時から極く穩しい性質で、人にさからふといふ事が一度もなく、口惜しい時には物蔭に隱れて泣くぐらゐなもの、年頃になつてからは、村で一番老人達の氣に入つてるのが此お定で
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ずっと以前、私がまだいとけなかった頃のことで、もはや返らぬ夢と過ぎ去った少年の日のころ私は見も知らぬ場所ところへ初めてやって行くのがとても嬉しかったものだ。
彼が後宇多院ごうだいんに仕えていたころは、宮もまだおいとけない皇子だったが、やがて妙法院へ入られ、叡山えいざん座主ざすにつかれた後も、歌の会などでは、しばしばお目にかかっていた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ついてはかみがお逝去かくれになれば、貴様も知っての通り奥方もお逝去で、御順ごじゅんにまいれば若様をというのだが、まだ御幼年、取ってお四歳よっつである、余りおちいさ過ぎる
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まだ西も東も知らないいはけない心でも、後々あとあとまでも美しい夢のやうにさだかに、心のなかに取り入れ納めることが出來る物ではなからうか。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
でもいわけない天子さまが、筑前山鹿とかにご滞在の際のことで、毎度この女は魚を売りに行って、陣屋々々の様子を見ていたと語ったそうである。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
真女児は、「我身おさなきより、人おおき所、あるいは道の長手ながてをあゆみては、必ず気のぼりてくるしきやまいあれば、従駕ともにぞ出立いでたちはべらぬぞいとうれたけれ」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
十月経つと乃信姫君は因果のを産み落としたが、幸か不幸か死産であった。間もなく乃信姫も世を去られたがそれは自殺だということである。
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
弁円は、愚に返った老人のように——また、に返った成人のように——両手で顔をかくして泣き入りながら
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無意味な琴の音のをさなびた Sentiment は
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)