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稚
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おさ
ふりがな文庫
“
稚
(
おさ
)” の例文
まだ
稚
(
おさ
)
ない
九歳
(
ここのつ
)
の子ではあるが、軽く抱いて、置き換えられないような
巨
(
おお
)
きさというか、気品というか、威というか、そんな気持をうけた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
精神のみを以て事業を為し遂げ得べしと一
づ
(
ママ
)
に思いし
稚
(
おさ
)
な心の憐れさよ、某大事業家を見よ、彼は学校を起すにあたって広く世の賛成を仰ぎ
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
親鸞 お前はまだ
稚
(
おさ
)
ない童子だったがな。あのころから少しからだが弱いと言っておかあさんは案じていらしたっけ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
誰でもみんなが持つ
稚
(
おさ
)
ない感情がどやどやと足音をさせ、しばらく私をとりかこんでくるのが、何より嬉しかった。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
我れ今まで
薬袋
(
やくたい
)
もなき小説を油汗にひたりて書き来りしが、これよりは
将
(
は
)
た如何にすべき、我が筆は誠に
稚
(
おさ
)
なし
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
高城伍長は
抑揚
(
よくよう
)
のない発声法で、花田中尉のそのような返答をはっきりと報告した。まだ若い、少年の
稚
(
おさ
)
なさを身体の何処かに残したような下士官である。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
おみちはいつまでも
稚
(
おさ
)
な顔の抜け切らぬ顔立ちの娘であった。それ故にこそ親が貰って呉れた妻ではあったが日本に居るときの新吉は随分とおみちを愛した。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
紙に取って楽しむ遊びがある。すなわちつき草は特に附きやすい花だったのである。
稚
(
おさ
)
ない人たちの新しい名を好む癖は、この方面にも
明
(
あきら
)
かに現われている。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
や、百人一首で
稚
(
おさ
)
な
馴染
(
なじみ
)
の
業平
(
なりひら
)
の冠に著けた
鍋取
(
なべとり
)
によく似た物を黒革作りで高帽の一側に著けあり。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
世間の風はいつも私には暖かく、
稚
(
おさ
)
な心からいつまでも私は脱けられないのであった。
その人
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
あの
娘
(
こ
)
の
歿
(
なくな
)
ったのは
六歳
(
むっつ
)
の
時
(
とき
)
でございましたが、それがこちらの
世界
(
せかい
)
で
大分
(
だいぶ
)
に
大
(
おお
)
きく
育
(
そだ
)
っていたのには
驚
(
おどろ
)
きました。
稚
(
おさ
)
な
顔
(
がお
)
はそのままながら、どう
見
(
み
)
ても
十歳位
(
とおくらい
)
には
見
(
み
)
えるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そのころの克子の目はまだ
稚
(
おさ
)
なかったのだ。悲しさに曇ってもいた。
明治開化 安吾捕物:15 その十四 ロッテナム美人術
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
男も、女も、老いたるも、
稚
(
おさ
)
なきものも——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
なつかしむ
稚
(
おさ
)
な心に
猟奇歌
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
もう二人の娘は、その頃の少女ではないと思っても、かれの想像はやはりあの当時の
稚
(
おさ
)
な顔を描いてみせる。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの女は、働くことに無力な一人の病身で内気な
稚
(
おさ
)
ない母と、そのみどり子の
餓
(
う
)
えるのを、誰もかまって
呉
(
く
)
れない世の中のあまりのひどさ、みじめさに、
呆
(
あき
)
れ果てた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
肩の
辺
(
あたり
)
の骨が細く、服の加減で、少年のような
稚
(
おさ
)
なさを見せている。何か漠然とした不安が、私をとらえた。男は、
両掌
(
りょうて
)
を後頭部に組み、その
儘
(
まま
)
うしろに寝ころがった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
それに(苦しそうに)善鸞の
稚
(
おさ
)
ないものの運命をおそれない軽率な招き、私はよそ事には思われない。私はどうしても唯円の罪を分け負わなくてはならない。その私がどうして裁くことができよう。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
当初
稚
(
おさ
)
なくしてまた上品な
貞門
(
ていもん
)
の俳諧を突破して、
梅翁
(
ばいおう
)
一派の豪胆なる
悪謔
(
あくぎゃく
)
が進出した際には、誰しも
鳥羽僧正
(
とばそうじょう
)
の画巻をくりひろげるような痛快さをもって、
悦
(
よろこ
)
び迎えざる者は無かったのであろうが
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あいや、六条どの、それは
稚
(
おさ
)
な心というものではないか。母に仏心あれば、子に仏心のうつること当然、
家
(
うち
)
に仏音あれば、子の声に
仏韻
(
ぶついん
)
の生じることまた当然。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
柔
(
やわら
)
かい筋肉とは無関係に、
角化質
(
かくかしつ
)
の堅い
爪
(
つめ
)
が短かく
尖
(
さき
)
の丸い
稚
(
おさ
)
ない指を
屈伏
(
くっぷく
)
させるように
確乎
(
かっこ
)
と並んでいる。
此奴
(
こいつ
)
の
強情
(
ごうじょう
)
!と、逸作はその爪を眼で
圧
(
おさ
)
えながら言った。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
すべて
稚
(
おさ
)
な
子
(
ご
)
は、澄んだ水でござる。それを、
奇瑞
(
きずい
)
の、奇童のと、見るのはすでにわれら凡俗の眼があやまっている。——あらゆる童心はすべて
仏性
(
ぶっしょう
)
でござろうぞよ、おわかりか
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「やっぱり
巴里
(
パリ
)
のむす子さんへの歌だったな。『
稚
(
おさ
)
な母』って題で連作でしたよ」
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
阿斗は、時に、まだ三歳の
稚
(
おさ
)
なさであった。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
稚
常用漢字
中学
部首:⽲
13画
“稚”を含む語句
幼稚
稚子
稚児
稚兒
稚心
天稚彦
丁稚
稚内
幼稚園
稚顔
稚気
稚児髷
稚氣
丁稚小僧
稚郎子
稚時
幼稚意
稚拙
丁稚奉公
稚児輪
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