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稚
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をさな
ふりがな文庫
“
稚
(
をさな
)” の例文
同時に、まだ電灯が普及しない時分、かゝる薄暗い灯火の光をたよりに自分は
稚
(
をさな
)
い恋の小説を書き始めた昔の追憶に打沈められる。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
大久保の子供達は皆
稚
(
をさな
)
い。それがすつかり大人になるまで婆さんは生き伸びる積りでゐるらしい。大変な事を約束したものだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それから思ひ切つて武士を捨て、
稚
(
をさな
)
いお前の手をひいて、すみ馴れた郡山の土地を離れる時は、おれも流石にさびしいやうな心持がしないでもなかつた。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
汝の思ひの
稚
(
をさな
)
きをみて我のほゝゑむを
異
(
あや
)
しむなかれ、汝の足はなほいまだ眞理の上にかたく立たず 二五—二七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
鶴子はやつと下げ髪から替へたての、まだ
何処
(
どこ
)
か身につかない
可笑
(
をか
)
しな感じのする束髪に結つた娘だつた。彼女は十七で、見かけよりはずつと
稚
(
をさな
)
げであつた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
▼ もっと見る
されど其道を過ぎんには、わが
稚
(
をさな
)
き頃より夢に見つる
馬籠
(
まごめ
)
驛の
翠微
(
すゐび
)
は遂に一目をも寓する
能
(
あた
)
はざるなり。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
ロミオ はて、
其
(
その
)
覘
(
ねらひ
)
は
外
(
はづ
)
れた。
戀愛神
(
キューピッド
)
の
弱弓
(
よわゆみ
)
では
射落
(
いおと
)
されぬ
女
(
をんな
)
ぢゃ。
處女神
(
ダイヤナ
)
の
徳
(
とく
)
を
具
(
そな
)
へ、
貞操
(
ていさう
)
の
鐵
(
てつ
)
の
鎧
(
よろひ
)
に
身
(
み
)
を
固
(
かた
)
めて、
戀
(
こひ
)
の
稚
(
をさな
)
い
孱弱矢
(
へろ/\や
)
なぞでは
些小
(
いさゝか
)
の
手創
(
てきず
)
をも
負
(
お
)
はぬ
女
(
をんな
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
一六一
此の
浦回
(
うらわ
)
の波に身を投げしことを、世の哀れなる
例
(
ためし
)
とて、いにしへの人は歌にもよみ給ひてかたり伝へしを、翁が
稚
(
をさな
)
かりしときに、母のおもしろく
話
(
かた
)
り給ふをさへ
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
船から見て行く島根半島の方に私達の話頭を轉じ、國讓りの故事を語り、
事代主
(
ことしろぬし
)
の神の昔を語り、この世がまだ暗く國も
稚
(
をさな
)
かつたといふ遠い神代の傳説の方へ私達の心を連れて行くのは野村君だ。
山陰土産
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼の
鬼臉
(
こはもて
)
なるをいと
稚
(
をさな
)
しと
軽
(
かろ
)
しめたるやうに、間はわざと色を
和
(
やはら
)
げて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こはいかにせん/\
姑
(
しうとめ
)
にいひわけなしと
泪
(
なみだ
)
を
雫
(
しづく
)
にふらせて
哭
(
なき
)
けるが、我もともにと
松明
(
たいまつ
)
を川へ
投
(
なげ
)
入れ身を
投
(
なげ
)
んとしつるが、又おもへらく、わがなきあとは
老
(
おい
)
たる母さまと
稚
(
をさな
)
き
子
(
こ
)
どもらを
養
(
やしな
)
ふものなく
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
諏訪
(
すは
)
のうみの
田螺
(
たにし
)
を食へばみちのくに
稚
(
をさな
)
かりし日おもほゆるかも
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
をとめ子の
紅牙
(
こうげ
)
の尺は
花鳥
(
はなとり
)
の目もあてにして
稚
(
をさな
)
かりけり
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
時しもあれや、
徒然
(
つれ/″\
)
の
醉
(
ゑひ
)
は
稚
(
をさな
)
き心に浮び
虱とるひと
(旧字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
稚
(
をさな
)
き心の夢の
瞳
(
め
)
ひらきぬれば
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今の英国皇太子がまだ
稚
(
をさな
)
かつた頃、ある日その雑誌棚の前へ来て、多くの写真帖のなかから『各国民元首帖』といふのを引張り出してじつと見てゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
稚
(
をさな
)
き女そのほか空しきはかなきものの矢を待ちて翼をひくく地に低るべきにあらざりき 五八—六〇
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
都の人も見ぬを
恨
(
うらみ
)
に聞え侍るを、我が身
稚
(
をさな
)
きより、人おほき所、
或
(
ある
)
は道の
長手
(
ながて
)
をあゆみては、必ず
二五五
気
(
け
)
のぼりてくるしき病あれば、
二五六
従駕
(
みとも
)
にえ出で立ち侍らぬぞいと
憂
(
うれた
)
けれ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
晝貌は晝もあはれや
容貌
(
みめ
)
清き
稚
(
をさな
)
どちゐて草に坐りぬ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
汝よくかれらを見かれらに耳を傾けなば、顏や
稚
(
をさな
)
き聲によりてよくこれをさとるをえむ 四六—四八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
延若の政岡が
風炉
(
ふろ
)
先きの屏風にひしと身を寄せて忍び泣きをしてゐると、「
稚
(
をさな
)
けれども天然に太守の心備はつ」た筈の延宝の鶴千代が、この頃の寒さに、つい
堪
(
こら
)
へかねて
小便
(
しゝ
)
が
仕
(
し
)
たくなつた事だ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
昼貌は昼もあはれや
容貌
(
みめ
)
清き
稚
(
をさな
)
どちゐて草に坐りぬ
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
敵なりや、
稚
(
をさな
)
き
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
敵なりや、
稚
(
をさな
)
き
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
稚
(
をさな
)
きは
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
稚
常用漢字
中学
部首:⽲
13画
“稚”を含む語句
幼稚
稚子
稚児
稚兒
稚心
天稚彦
丁稚
稚内
幼稚園
稚顔
稚気
稚児髷
稚氣
丁稚小僧
稚郎子
稚時
幼稚意
稚拙
丁稚奉公
稚児輪
...