“翠微”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すいび70.0%
すゐび30.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
翠微すいびかん一抹いちまつの煙がある——煙の下にはきっと火がある、火の近いところには人があるべきものにきまっています。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ことに、美奈子達の占めた一室は、ホテルの建物の右の翼のはずれにあった。開け放たれた窓には、早川の対岸明神岳明星岳の翠微すいびが、手に取るごとく迫っていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
大井おほゐ中津川なかつがはの諸驛を過ぎて、次第に木曾の翠微すゐびちかづけるは、九月もはや盡きんとして、秋風しうふう客衣かくいあまねく、虫聲路傍に喞々しよく/\たるの頃なりき。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
その詩は便宜上仮名まじりにすると、「絶頂の新秋、夜涼を生ず。鶴は松露を翻して衣裳に滴る。前峰の月は照す、一江の水。僧は翠微すゐびに在つて竹房を開く。」
文芸鑑賞講座 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)