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苛
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いぢ
ふりがな文庫
“
苛
(
いぢ
)” の例文
そのお高婆さんが、嫁入当時多くの女が経験するやうに(女としては何といふ有難い経験であらう)
酷
(
ひど
)
く
姑
(
しうとめ
)
に
苛
(
いぢ
)
められた事があつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「いけないね、秀ちやんは」と、おつねが二人の横に立つて、——「うちの子を
苛
(
いぢ
)
めると承知しないから、さア、仲直りなさいよ」
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
清潔好
(
きれいずき
)
な
彼
(
かれ
)
には
派手
(
はで
)
な
手拭
(
てぬぐひ
)
の
模樣
(
もやう
)
が
當時
(
たうじ
)
矜
(
ほこり
)
の
一
(
ひと
)
つであつた。
彼
(
かれ
)
はもう
自分
(
じぶん
)
の
心
(
こゝろ
)
を
苛
(
いぢ
)
めてやるやうな
心持
(
こゝろもち
)
で
目欲
(
めぼ
)
しい
物
(
もの
)
を
漸次
(
だん/\
)
に
質入
(
しちいれ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それからまた、私は仲間の生徒たちの受けもよかつたし、同じ年頃の人たちにも、對等に
附合
(
つきあ
)
はれ、誰からも
苛
(
いぢ
)
められたりすることもなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
苛々
(
いらいら
)
しさ……何よりも芸術の粋を慕ふ私の心は渾然としたその悲念の
溶
(
とろ
)
ましさに
訳
(
わけ
)
もなく
苛
(
いぢ
)
められ、魅せられ、ひき包まれ、はたまた泣かされる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
源太郎の娘で、氣象者で通つたお銀の方も、
椎茸髱
(
しゐたけたぼ
)
の女中共に
苛
(
いぢ
)
め拔かれて、少し氣が變になつた。到頭若樣十次郎を
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかもお
生家
(
さと
)
が並々ならぬ大身なる処より、
嬶
(
かゝあ
)
天下の我儘一杯にて、継子
苛
(
いぢ
)
めの噂もつぱらなる家なり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
無論父親は決して富之助を
苛
(
いぢ
)
める爲めに富之助に尋ねたのではなかつた。實際子を思ふ至情からであるのだが、それが富之助には獄吏の
笞
(
しもと
)
かと思はれるのであつた。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
平三にどんな理由があつても、大きなものが小さいものを
苛
(
いぢ
)
める法はない、小さい者がどんなことをしようと大きな者は辛抱して居るものだとお光は平三をたしなめた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
野郎はあの犬をけしかけて借金とりを
悸
(
おど
)
したり、自分が小作人
苛
(
いぢ
)
めに赴く時の供に使つてゐるさうだが、あいつを一番擲り殺して、ヤグラ岳で狼を退治した、野良を荒し
武者窓日記
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
姑が或理由を附して嫁を離別させるのはまだ好い方であつて甚しきは理由が無いと唯だ無茶苦茶に
苛
(
いぢ
)
め通した擧句、姑の一存で嫁を追ひ返してしまふ例さへ珍しくないのです。
姑と嫁に就て(再び)
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
人
(
ひと
)
に
踏
(
ふ
)
まれたり、
蹴
(
け
)
られたり、
後足
(
うしろあし
)
で
砂
(
すな
)
をかけられたり、
苛
(
いぢ
)
められて
責
(
さいな
)
まれて、
熱湯
(
にえゆ
)
を
飲
(
の
)
ませられて、
砂
(
すな
)
を
浴
(
あび
)
せられて、
鞭
(
むち
)
うたれて、
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
泣通
(
なきどほ
)
しで、
咽喉
(
のど
)
がかれて、
血
(
ち
)
を
吐
(
は
)
いて
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
苛
(
いぢ
)
められたり
揶揄
(
からか
)
はれたりしても、まだしも雛子や蝶子が懐かしかつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「あんまり
苛
(
いぢ
)
めるなよ。」
キリスト者の告白
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
驟雨
(
しうう
)
は
後
(
あと
)
から
後
(
あと
)
からと
驅
(
か
)
つて
來
(
く
)
るので
曉
(
あかつき
)
の
白
(
しら
)
まぬうちから
麥
(
むぎ
)
を
搗
(
つ
)
いて
庭
(
には
)
一
杯
(
ぱい
)
に
筵
(
むしろ
)
を
干
(
ほし
)
た
百姓
(
ひやくしやう
)
をどうかすると
五月蠅
(
うるさ
)
く
苛
(
いぢ
)
めた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ところが、抱月氏の生存当時、須磨子の勝気に
圧
(
お
)
しひしがれてゐた多くの男と女とは、抱月氏が亡くなると、
徐々
(
そろ/\
)
寄つて
集
(
たか
)
つてこの女優を
苛
(
いぢ
)
め出した。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「お糸を皆んなで邪魔にするから、こんな事になるのですよ。——お幾なんか、あんな濟した顏をして居るけれど、甚助をけしかけてどんなにお糸を
苛
(
いぢ
)
めたかわからない」
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香爐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今日
(
けふ
)
からは僕達のやうに叔母さんから
苛
(
いぢ
)
められるだらうからと云ふのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ジョンは私に似てるし私の兄弟に似てる——
彼
(
あれ
)
は立派なギブスン家の人間なのだ。あゝ彼がお金をくれといふ手紙で私を
苛
(
いぢ
)
めるのを止してくれゝばいゝのに! 私にはもう
彼
(
あれ
)
にやるお金は無い。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「心配するな、俺はもう何と云はれたつて姦通者に相違ないのだ、皆が皆寄つて
群
(
たか
)
つて苛めるならもつと
苛
(
いぢ
)
めろ、もつと
苛
(
いぢ
)
めろ、
一層
(
いつそ
)
の事ぐいと銀の槍でも突き通せ。」
汝
(
おまへ
)
の心はもうその時犇と優しい Tinka John の身体を
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
まだ
暑
(
あつ
)
い
空氣
(
くうき
)
を
冷
(
つめ
)
たくしつゝ
豪雨
(
がうう
)
が
更
(
さら
)
に
幾日
(
いくにち
)
か
草木
(
くさき
)
の
葉
(
は
)
を
苛
(
いぢ
)
めては
降
(
ふ
)
つて/\
又
(
また
)
降
(
ふ
)
つた。
例年
(
れいねん
)
の
如
(
ごと
)
き
季節
(
きせつ
)
の
洪水
(
こうずゐ
)
が
残酷
(
ざんこく
)
に
河川
(
かせん
)
の
沿岸
(
えんがん
)
を
舐
(
ねぶ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「この男はLといふ軍曹です。悪い奴ぢやありません。別扱ひにして欲しいと言ひますから、一度に撃ち殺さないで、ゆつくり
苛
(
いぢ
)
め殺してやつて下さい。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「お菊を、殺したのは、この彌助に相違ございません。——何時もお菊やお淺に
苛
(
いぢ
)
められて、小さくなつてゐる、片輪のお吉が可哀さうで、ツイあんな大それた事をして了ひました」
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四人程そのことに就いて話してやらうと云つて来た人がありましたが、私は自分の
後暗
(
うしろくら
)
さから(間接に子供を
苛
(
いぢ
)
めたのは私とあなたなのですから)その人等には曖昧なことを云つて口を
閉
(
とざ
)
させました。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
実業家は冷めた盃を
啣
(
ふく
)
みながら、是公氏が何を泣いてゐるのだらうと色々想像してみた。後藤
男
(
だん
)
が新聞記者に
苛
(
いぢ
)
められたからといつて泣く程の是公氏でもないと思つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
(おそろしく近代的なお公家さまで、歌よみを優遇するよりも、
苛
(
いぢ
)
めることを知ってゐる。)
器用な言葉の洒落
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
(おそろしく近代的なお
公家
(
くげ
)
さまで、歌よみを優遇するよりも、
苛
(
いぢ
)
めることを知つてゐる。)
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
苛
常用漢字
中学
部首:⾋
8画
“苛”を含む語句
苛責
苛酷
苛立
苛々
苛辣
苛斂誅求
苛苛
苛虐
苛斂
小苛
苛烈
苛税
苛政
苛刻
手苛
苛察
苛立勝
暴歛苛法
辛辣苛酷
責苛
...