いぢ)” の例文
「とに角お上と云ふ奴があんまり滅茶めちやいぢめ方をしやがるからみんながいぢけちやつたんだ。人間が堪へる力にも限度があるからな。」
何故外の用を先にしたと言つて給仕をいぢめてゐたつけが、感情を發表するに正直だといふ點では、我々は遠く逢坂に及ばないよ。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
悪いこと云はねえから、早う国へ帰つて親ごの云ふことを聞いて家にゐるが好えだ。親にいぢめられるぐれえ何でもねえだ。あたりめえだ。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
三度の食ひ物もあてがひ扶持ぶち、飯が一杯に味噌汁少々、漬物が二た片、盆も正月も、それで押つ通したといふから、大したいぢめやうぢやありませんか
何よりも圭子を失望させたのは、父親に言はれて来たらしい、いぢめられたら警察へ飛込むのだといふことだつた。それに彼女は、何もかも知つてゐた。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
特に新入生をいぢめさうな大兵だいひやうなものとかは、三年生と一緒に東寮に移らなければならなかつたが、私は運よく西寮に止まり、もちろん室長でこそなかつたにしろ
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
一週間に二三度どころか一日に一度も二度も、寧ろ續けさまに、ジョンは、私を、いぢめたり、ひどい目に遭はせたりした。私の全身の、あらゆる神經は、ジョンを怖れてをつた。
權三 寄つてたかつておればかりいぢめちやあ困るな、助の野郎め、狡い奴だ。おぼえてゐろ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
するとよめあね番頭ばんとうとでいぢめたので、よめつらくてられないから、実家さとかへると、親父おやぢ昔気質むかしかたぎ武士ぶしだから、なか/\かない、られてるやうな者は手打てうちにしてしまふ
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
夜は夜で毎晩鷄の鳴く時分までもそんなことを云ひ出しては人をいぢめ拔いてやがつて、誰が出て行つてやるもんか! 一生でも取附いてやるからね……惡黨! 薄情野郎奴! 忘れやがつたかよ
蠢く者 (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
渠が忠一をいぢめることが厳しければ厳しい程、他の生徒は渠を偉い教師の様に思つた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さうして、リード夫人のゐないところでは、ジョンは、もつとひどく、私をいぢめた。
『マひどい! 散々人をいぢめて置いて。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『何故? モウいぢめませんよ。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)