あわ)” の例文
旧字:
かくすにゃあたらないから、有様ありようにいってな、こと次第しだいったら、堺屋さかいやは、このままおまえにはあわせずに、かえってもらうことにする」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
こんな機会でなければ、顔をあわすことはありませんが、これでも私は工業の部門に属する専門家になろうとした事がありました。私は建築家になろうと思いました。
おはなし (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人の悪い井関さんは、意味ありげな暗闇の舞踏会で、会員の一人一人を俺と同じような目にあわせ、あとで大笑いをする積りだったのではないか。そうだ、もうそれに極った
覆面の舞踏者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
弟はわたくしのに釣られて、まず自分自身の遺憾いかんを先にもらし、家族の一人をこういう風な目にあわしもする先生並にこの家自体の矛盾に就て恨みや歎きの口振りも混ぜて
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
意外なのは暫時しばらあわぬ中に全然すっかり元気が衰えたことである、元気が衰えたと云うよりか殆ど我が折れて了って貴所の所謂いわゆる富岡氏、極く世間並の物の能く通暁わかった老人にって了ったことである
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
他人に顔をあわし得ず、孤独淋しさ言わん方なきに至れり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)