“あわて”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
周章61.5%
狼狽27.0%
5.7%
慌忙3.3%
倉皇0.8%
狼藉0.8%
粗忽0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
酒井俊蔵と云う父親と、歴然れっきとした、謹(夫人の名。)と云う母親が附いている妙の縁談を、門附風情が何を知って、周章あわてなさんな。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
河原から上がって、彼を追うと、お杉隠居も、もしお通が逃げるつもりではないかと狼狽あわてだしたように、すぐ後ろから駈け上がってゆく。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
膝をいたので、乳母があわて確乎しっかりくと、すぐ天鵝絨びろうど括枕くくりまくら鳩尾みぞおちおさえて、その上へ胸を伏せたですよ。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
引開ひきあけ見ればお光はすでにはや庄兵衞をば刺留しとめつゝ今や自害じがいをなさんとする景樣ありさまなるに大きに慌忙あわてヤレまてしばしと大聲おほごゑあげんとなししが夜隱やいんのこともしも長家へ漏聞もれきこえ目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
手がふるえて、心が倉皇あわてて書かれませぬ。涙で眼が見えなくなります。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それかあらぬかこの大入りの興行が、突然何の打合せもなしに、狼藉あわてふためいて興行主から中止されてしまった。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
一つには阿母おふくろが人並以上な気丈者で、そんな腰巻ゆもじと血糊のべっとりついたのとを見間違えるような粗忽あわて者ではないことに気がついたのでございましょう。
蒲団 (新字新仮名) / 橘外男(著)