“あわたゞ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
53.5%
9.3%
周章7.0%
急遽4.7%
慌忙4.7%
狼狽4.7%
其遽2.3%
匇惶2.3%
2.3%
急忙2.3%
惶急2.3%
慌立2.3%
軽卒2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かれがふとおもしたやうにせま戸口とぐちけてあかるいそとほこりしがめてつたとき與吉よきちあわたゞしく飯臺はんだいふたをしたところであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
聞き巡査の剣幕は打って代り「いや貴方あなたでしたか、そうとは思いも寄りませず」とあわたゞしく言訳するを聞捨てしきいを一足館内に歩み入れば驚きてこゝつどえる此家の店子たなこの中に立ち
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
鏡子は周章あわたゞしい世界へ帰つて来たと夢から醒めた時のやうな息をして子供達を見て居た。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
斯うやつて斯うすると言ひながら急遽あわたゞしう七分三分に尻端折て、其樣な結ひつけなんぞより是れが爽快さつぱりだと下駄を脱ぐに、お前跣足はだしになるのか夫れでは氣の毒だと信如困り切るに、好いよ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小尼公アベヂツサの優しきかひなの爐中の詩卷をつかまんとせし時、事の慌忙あわたゞしさに足踏みすべらしたるなるべし、この天使の如き少女はあと叫びて、横ざまに身を火燄の間にたふしつ。
扨はとばかり瀧口は、折紙のおもて凝視みつめつゝ暫時しばし茫然として居たりしが、何思ひけん、あらかじめ祕藏せし昔の名殘なごり小鍛冶こかぢの鞘卷、狼狽あわたゞしく取出してころもの袖に隱し持ち、麓の方に急ぎける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
其遽あわたゞしさ、草から見れば涙である。然し油断してうつかり種をこぼされたら、事である。一度落した草の種は中々急に除り切れぬ。
草とり (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
其となく返すものは返す、調べるものは調べる、後になつて非難を受けまいと思へば思ふほど、心の匇惶あわたゞしさは一通りで無い。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あわたゞしく拾はうとする姫のうつむいた背を越して、流れる浪が泡立つてとほる。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
急忙あわたゞしくものろはしきのたたずまひ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
といふ訳で、万事は弁護士と銀之助とに頼んで置いて、丑松は惶急あわたゞしく飯山をつことに決めた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
声はなく慌立あわたゞしい物音が起つたのだが、発作ほつさでも起したらしかつた。
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
場内を卓から卓へ軽卒あわたゞしく歩き廻つて何人なにびとにも愛嬌あいけう振撤ふりまくのを見ると其れが人気者たる所以ゆゑんであらう。僕がこの人と物を言ふのは今夜が初めで多分又同時に最後であらう。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)