狼狽あわたゞ)” の例文
いたづらに狼狽あわたゞしく散漫な日常生活は、到底久保田君をして充分に創作の才能を發揮させなくなつた。
扨はとばかり瀧口は、折紙のおもて凝視みつめつゝ暫時しばし茫然として居たりしが、何思ひけん、あらかじめ祕藏せし昔の名殘なごり小鍛冶こかぢの鞘卷、狼狽あわたゞしく取出してころもの袖に隱し持ち、麓の方に急ぎける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)