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遽
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あわたゞ
ふりがな文庫
“
遽
(
あわたゞ
)” の例文
遽
(
あわたゞ
)
しく裂きて中なる
書
(
ふみ
)
をとりいだすに、いと長き消息の、前半は墨濃く筆のはこびも慥なれど、後半は震ふ筆もて
微
(
かす
)
かに覺束なくしるされたるを見る。其文に曰く。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
聞き巡査の剣幕は打って代り「いや
貴方
(
あなた
)
でしたか、
爾
(
そう
)
とは思いも寄りませず」と
遽
(
あわたゞ
)
しく言訳するを聞捨て
閾
(
しきい
)
を一足館内に歩み入れば驚きて
茲
(
こゝ
)
に
集
(
つど
)
える此家の
店子
(
たなこ
)
の中に立ち
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
或
(
あるひ
)
は
其頃
(
そのころ
)
の
威勢
(
めをひ
)
は
素晴
(
すばら
)
しきものにて、いまの
華族
(
くわぞく
)
何
(
なん
)
として
足下
(
あしもと
)
へも
依
(
よ
)
らるゝ
物
(
もの
)
でなしと、
口
(
くち
)
濘
(
すべ
)
らして
遽
(
あわたゞ
)
しく
唇
(
くちびる
)
かむもをかし、
夫
(
それ
)
に
比
(
くら
)
べて
今
(
いま
)
の
活計
(
くらし
)
は、
火
(
ひ
)
の
消
(
きえ
)
しも
同
(
おな
)
じことなり
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
緊張した顏の人間が
遽
(
あわたゞ
)
しく出たり入つたりしてをります。
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
われはその接吻の
渾身
(
こんしん
)
の血に
浸
(
し
)
み渡る心地して、
遽
(
あわたゞ
)
しく我手を引き退け、酒店の軒に馳せ入りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
斯
(
かく
)
と見て倉子は
遽
(
あわたゞ
)
しく「プラトやこれ」と制するに犬は
忽
(
たちま
)
ち鎮りて寝台の
所
(
した
)
に退けり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
その
遽
(
あわたゞ
)
しく
奔
(
はし
)
り去りし
状
(
さま
)
は我心魂を奪ひ、われは身邊の
柱楹
(
ちゆうえい
)
草木悉く
旋轉
(
せんてん
)
するを覺えて、何故ともなく馳せ出し、
荊莽
(
けいぼう
)
の上を踏みしだきつゝ
徐
(
しづ
)
かに歩める人々を追ひ越し行きぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
遽
(
あわたゞ
)
しく
入来
(
いりきた
)
り何やらん目科の耳に
細語
(
さゝや
)
くと見る間に目科は顔色を変て身構し「
好
(
よ
)
し/\
直
(
すぐ
)
に行く、早く帰ッて皆に
爾
(
そう
)
云
(
い
)
え」と、命ずる間も
急
(
いそが
)
わしげなり、男は此返事を
得
(
う
)
るや又
一散
(
いっさん
)
に走去りしが
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
遽
漢検1級
部首:⾡
17画
“遽”を含む語句
急遽
遽然
遽々然
其遽
大遽
遽伯玉
遽色
遽雨
遽驚