“遽然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にわかに30.8%
にはかに15.4%
きよぜん15.4%
きょぜん15.4%
たちまち15.4%
にはか7.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
友達に別れると、遽然にわかに相川は気の衰頽おとろえを感じた。和田倉橋から一つ橋の方へ、内濠うちぼりに添うて平坦たいら道路みちを帰って行った。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
遽然にはかに、蓮華寺の住職が説教の座へ上つたので、二人はそれぎり口を噤んで了つた。人々はいづれもすわり直したり、かたちを改めたりした。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
陽春三月の花のそら遽然きよぜん電光きらめけるかとばかり眉打ちひそめたる老紳士のかほを、見るより早くの一客は、殆どはんばかりに腰打ちかがめつ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
さて、旬日ののち、嚢中のうちゅうわずかに五十フランを余すとき、悩みに満ちた浅い眠りを続けているコン吉を遽然きょぜんと揺り起すものあり。
嬋娟哥妓うつくしきげいしや袖をつらね、素手そしゆ弄糸いとをろうし朱唇しゆしん謡曲きよくをうたふ迦陵頻伽かりやうびんがこゑ外面如𦬇げめんによぼさついろきやうそゆれば、地獄谷ぢごくだに遽然たちまち極楽世界ごくらくせかいとなれり。
今夜こよひは満願とてかの橋にもいたり殊更ことさらにつとめて回向ゑかうをなし鉦うちならして念仏ねんぶつしけるに、皎々けう/\たる月遽然にはかくもりて朦朧まうろうたり。