“にはか”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ニハカ
語句割合
60.2%
17.9%
3.3%
3.3%
2.4%
2.4%
1.6%
俄然0.8%
仁和賀0.8%
仁輪加0.8%
倏急0.8%
倐忽0.8%
急激0.8%
0.8%
0.8%
突然0.8%
遽然0.8%
0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
土神はにはかに両手で耳を押へて一目散に北の方へ走りました。だまってゐたら自分が何をするかわからないのが恐ろしくなったのです。
土神と狐 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
満庭の樹影青苔せいたいの上によこたはりて清夏の逸興にはかきたるを覚ゆる時、われ年々来青花のほとりに先考所蔵の唐本たうほんを曝して誦読日の傾くを忘る。
来青花 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しきいめを見つ。沙本さほかたより、暴雨はやさめり來て、にはかに吾が面をぬらしつ。また錦色の小蛇へみ、我が頸にまつはりつ。
去月二十九日上関に薩の蝶丸にて参りたり。然るに此度の用事は云々、先づ京師のヨフス様子は去月十五日将軍上洛、二十一日、一橋会津桑名にはかに朝廷にせまり、追討の命をコフ。
金澤氏六代の増田東里には、弊帚集へいさうしふと題する詩文稿があることを、蒼夫さんに聞いた。わたくしはにはかに聞いて弊帚の名の耳に熟してゐるのを怪んだ。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたくしはにはかに見て、大田の病人と蜀山人とは別人ではないかと疑つた。しかしつく/″\おもへば同人であらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
若しすべての文学者ぶんがくしやかつ兵役へいえき従事じゆうじせしめば常備軍じやうびぐんにはか三倍さんばいして強兵きやうへいじつたちまがるべく、すべての文学者ぶんがくしや支払しはら原稿料げんかうれうつもれば一万とん甲鉄艦かふてつかん何艘なんざうかをつくるにあたるべく
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
盜賊たうぞくに落し呉んとの了簡ゆゑ一文貰ひの身分みぶんにして俄然にはか金策きんさくの出來たるわけ又店にて百兩の金が紛失ふんじつしたるは斯樣々々とべんまかせて申立ければ其通り双方さうはう口書くちがき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
與へければかたじけなしと押戴おしいたゞき是にて討入のせつおもふまゝに働き申さんと喜びて立出しが如何なる惡魔あくま魅入みいられしにや俄然にはか欲心よくしんきざして此十四日の夜討に入りなば討死するか又は切腹なすか二ツの外はいづべからずさいはひ此二百五十兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
世態人情の変化は漸く急激となつたが、然し吉原の別天地は猶旧習を保持するだけの余裕があつたものと見え、毎夜の張見世はりみせは猶廃止せられず、時節が来れば桜や仁和賀にはかの催しも亦つゞけられてゐた。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
曾我迺家の仁輪加にはかは歌舞伎劇よりも尊いと云はなければならない。
天色てんしよく倏急にはかかは黒雲くろくもそらおほひければ(是雪中の常也)をつとそらを見て大に驚怖おどろき、こは雪吹ふゞきならんいかゞはせんと踉蹡ためらふうち、暴風はやて雪を吹散ふきちらす巨濤おほなみいはこゆるがごとく、つぢかぜ雪を巻騰まきあげ白竜はくりやうみねのぼるがごとし。
ここに神倭伊波禮毘古の命倐忽にはかにをえまし、また御軍も皆をえて伏しき。
むしあひはんした放縱はうじう日頃ひごろ自然しぜん精神せいしんにも肉體にくたいにも急激にはか休養きうやうあたへたのでかれ自分じぶんながら一はげつそりとおとろへたやうにもおもはれて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
王の御手が私の肩に触れたのを感ずると私はにはかに厳然と直立して、未だ王が何事も云ひ始めぬのに
青白き公園 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
にはかに読めば「去年」と「此年」とは別年の如くにも見える。若し別年とするときは、里恵が書を裁して寄せたのは天保四年癸巳である。癸巳より算する十九年間は文化十二年乙亥に始まる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたくし幾度いくたびくちひらきかけたが、此時このとき大佐たいさ顏色がんしよくは、わたくし突然にはか此事このことねたほど海圖かいづむかつて熱心ねつしんに、やが櫻木大佐さくらぎたいさと、その海底戰鬪艇かいていせんとうていのにあひふべきはづの、橄欖島かんらんたう附近ふきん地勢ちせい
今夜こよひは満願とてかの橋にもいたり殊更ことさらにつとめて回向ゑかうをなし鉦うちならして念仏ねんぶつしけるに、皎々けう/\たる月遽然にはかくもりて朦朧まうろうたり。
そのにはかなると近きとに驚きて、三人みたりは始めて音するかた見遣みやりつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)