“たちまち”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:タチマチ
語句割合
66.4%
倏忽6.7%
忽地5.0%
忽然4.2%
倐忽3.4%
立待2.5%
1.7%
忽焉1.7%
1.7%
遽然1.7%
0.8%
倏急0.8%
忽如0.8%
火急0.8%
立地0.8%
須臾0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼はいきながら怨靈をんりやうとなれり。その美しき面は毒を吐けり。その表情の力の大いなる、今まで共に嘆きし萬客をしてたちまち又共に怒らしむ。
やがて食卓から立って妻児が下りて来た頃は、北天の一隅に埋伏まいふくし居た彼濃い紺靛色インジゴーいろの雲が、倏忽たちまちの中にむら/\とった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
頼んで片付んとひとり思案の其折から入來る兩人は別人べつじんならず日頃入魂じゆこんの後家のお定に彼の早乘はやのりの三次成れば長庵忽地たちまちゑみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
忽然たちまち樣々さま/″\妄想まうぞう胸裡こゝろわだかまつてた、今日こんにちまでは左程さほどまでにはこゝろめなかつた、こく怪談くわいだん
明るい色の衣裳いしょうや、麦藁帽子むぎわらぼうしや、笑声や、噂話うわさばなし倐忽たちまちあいだひらめき去って、夢のごとくに消えせる。
冬の王 (新字新仮名) / ハンス・ランド(著)
二十三夜待にじゅうさんやまちなどとやや似ていたのは、立待たちまちといって氏神うじがみさまのやしろの前に、氏子うじこが何人か交替して立ちどおしに立っていて、そのあいだかねを鳴らしつづけること
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「十一日。晴。たちまちあられ。朝四時夏島出帆。夜九時頃羽州秋田近海へ碇泊。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
えしが、忽焉たちまち其長そのたけ一丈五
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
毎年の事ながら不意の大雪にて廿七日より廿九日まで駅中えきちう家毎の雪ぼりにて混雑こんざついたし、簷外えんぐわいたちまち玉山をきづき戸外へもいでがたくこまり申候。今日も又大雪吹ふゞきに相成、家内くら蝋燭らふそくにて此状をしたゝめ申候。
嬋娟哥妓うつくしきげいしや袖をつらね、素手そしゆ弄糸いとをろうし朱唇しゆしん謡曲きよくをうたふ迦陵頻伽かりやうびんがこゑ外面如𦬇げめんによぼさついろきやうそゆれば、地獄谷ぢごくだに遽然たちまち極楽世界ごくらくせかいとなれり。
たちまちにして太い銀針のような雨脚があたりを真白にしてしまう。折々電光が物騒しく動揺する大気を掠めて、仄に赤く眼を射る。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
そのまゝ御機おはたによりておらんとしけるに、倏急たちまち仰向あふむきたふおちはき絶入たえいりけり。
吾妻はばし川地のおもてながめ居りしが、忽如たちまちあをりて声ひそめつ「——ぢや、又た肺病の黴菌ばいきんでもまさうといふんですか——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
立ながらあごに手伝はせての袖畳み小早く室隅すみの方に其儘さし置き、火鉢の傍へ直また戻つて火急たちまち鉄瓶に松虫の音をおこさせ、むづと大胡坐かき込み居る男の顔を一寸見しなに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
大鮏は三尺あまりもあるものゝ鮁狂はねくるふゆゑ魚楑なつちといふものにてかしらを一打うてば立地たちまち死す。こゝになる事は、此魚楑といふもの馬のつめをきりたるつちにあらざればせず。
折ふし延宝二年臘月ろうげつ朔日ついたちの雪、繽紛ひんぷんとして六美女の名にちなむが如く、長汀曲浦ちょうていきょくほ五里に亘る行路の絶勝は、須臾たちまちにして長聯ちょうれん銀屏ぎんぺいと化して、虹汀が彩管さいかんまがふかと疑はる。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)