“吹散”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふきちら60.0%
ふきち20.0%
ふきさん10.0%
ふきちらす10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はては、悄然しょうぜんかしられて、かいなに落した前髪がひやりとしたので、手折たおった女郎花おみなえしはかない露を、憂き世の風が心なく、吹散ふきちらすかと、胸にこたえる。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あさくも吹散ふきちりたり。かぜぎぬ。藪垣やぶがきなる藤豆ふぢまめの、さやも、まひるかげむらさきにして、たにめぐながれあり。たで露草つゆくさみだれす。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雁来紅がんらいこうの葉を食むものは紅髯こうぜん毿々さんさんとして獅子頭の如し。山茶花さざんかを荒すものは軍勢の整列するが如く葉裏に密生し其毛風に従って吹散ふきさんじ人を害す。園丁えんていも亦恐れて近づかず。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
天色てんしよく倏急にはかかは黒雲くろくもそらおほひければ(是雪中の常也)をつとそらを見て大に驚怖おどろき、こは雪吹ふゞきならんいかゞはせんと踉蹡ためらふうち、暴風はやて雪を吹散ふきちらす巨濤おほなみいはこゆるがごとく、つぢかぜ雪を巻騰まきあげ白竜はくりやうみねのぼるがごとし。