遽然にわかに)” の例文
友達に別れると、遽然にわかに相川は気の衰頽おとろえを感じた。和田倉橋から一つ橋の方へ、内濠うちぼりに添うて平坦たいら道路みちを帰って行った。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
不思議や黄雲遽然にわかに蒸して眼前にあつまりぬ、主従之に打乗り
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
その時、大学生の青木が、布施ふせという友達と一緒に、この茶店へ入って来た。「やあ」という声は双方から一緒に出た。相川の周囲まわり遽然にわかににぎやかに成った。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
遽然にわかにザアと降って来た。三吉は天主台近くにある茶屋の二階へ客を案内した。広い座敷へ上って、そこで茶だの菓物くだものだのを取り寄せながら、一緒に降って来る雨を眺めた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
風は遽然にわかに私の身にしみて来た。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)