“括枕”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くくりまくら80.0%
くゝりまくら20.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とろとろと、くもりもないのによどんでいて、夢を見ないかと勧めるようですわ。山の形もやわらかな天鵞絨びろうどの、ふっくりした括枕くくりまくらに似ています。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
秋子は布団の上に坐り、膝にのせた括枕くくりまくらによりかかって、障子の日向に写ってる松の小枝の影を、ぼんやり見つめていた。
幻の彼方 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
きよにいひけて膳立ぜんだてをさせて、それを小六ころくすゝめさしたまゝ自分じぶん矢張やはとこはなれずにゐた。さうして、平生へいぜいをつとのするやはらかい括枕くゝりまくらつてもらつて、かたいのとへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
立てつけのひどく惡い雨戸の隙間を洩るゝ月の光を面に浴びて白い括枕くゝりまくらの上に髮こそ亂して居れ睫毛まつげ一本も動かさない寢像のいゝ千登世の顏は、さながら病む人のやうに蒼白かつた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)