慌忙あわて)” の例文
左門慌忙あわてとどめんとすれば、陰風いんぷうまなこくらみて行方ゆくへをしらず。俯向うつぶしにつまづき倒れたるままに、声を放ちて大いになげく。
引開ひきあけ見ればお光はすでにはや庄兵衞をば刺留しとめつゝ今や自害じがいをなさんとする景樣ありさまなるに大きに慌忙あわてヤレまてしばしと大聲おほごゑあげんとなししが夜隱やいんのこともしも長家へ漏聞もれきこえ目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
蘿月は休まず歩きつづけた暑さにほっと息をつき、ひろげた胸をば扇子せんすであおいだが、まだ店をしまわずにいる休茶屋やすみぢゃやを見付けて慌忙あわてて立寄り、「おかみさん、ひやで一杯。」と腰をおろした。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
蘿月らげつは休まず歩きつゞけた暑さにほつと息をつき、ひろげた胸をば扇子せんすであふいだが、まだ店をしまはずにゐる休茶屋やすみぢやや見付みつけて慌忙あわて立寄たちより、「おかみさん、ひやで一杯。」と腰を下した。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)