“きりぎし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:キリギシ
語句割合
断崖33.3%
切岸20.8%
斷崖12.5%
切崖12.5%
断岸6.3%
切厓4.2%
絶壁4.2%
2.1%
断崕2.1%
斷層2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
このほこらいたゞく、鬱樹うつじゆこずゑさがりに、瀧窟たきむろこみちとほつて、断崖きりぎし中腹ちうふく石溜いしだまりのいはほわづかひらけ、たゞちに、くろがね階子はしごかゝ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
上を見ると、大きな空は、いつの世からか、仕切られて、切岸きりぎしのごとくそびえる左右のむねに余された細い帯だけが東から西へかけて長く渡っている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
川は雪のなかから黒い斷崖きりぎしと、一面に皺ばんだ鉛色の流れを見せたが、間もなく雪の畠地に隱れてしまつた。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
これはおかで探るより、船で見る方が手取てっとり早うございますよ。樹の根、いわの角、この巌山の切崖きりぎしに、しかるべきむろに見立てられる巌穴がありました。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
谷にはかけはしを以てすれば、要するに地続きの実が現われるものですけれども、ここの懸崖というものはちょうど、地球と月世界との間の絶対と同じこと、下を見れば見るほど底の知れない断岸きりぎし——
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
非常に広い原で、どこを見廻しても青い草ばかりえていた。女といっしょに草の上を歩いて行くと、急に絶壁きりぎし天辺てっぺんへ出た。その時女が庄太郎に、ここから飛び込んで御覧なさいと云った。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
博士が「手術をしよう」と沈着おちついた小声で言はれた時、わたしは真白な死のきりぎしに棒立になつた感がした。
産褥の記 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
近江おうみ、越前の国境くにざかいすさまじい山嘯やまつなみ洪水でみずがあって、いつも敦賀つるが——其処そこから汽車が通じていた——へく順路の、春日野峠かすがのとうげを越えて、大良たいら大日枝おおひだ山岨やまそば断崕きりぎしの海に沿う新道しんみちは、崖くずれのために
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今黒白の霰の岩地輝く斷層きりぎしの上
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)