“かげ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カゲ
語句割合
30.7%
25.0%
13.4%
12.8%
陰影5.5%
4.7%
鹿毛1.8%
陰翳0.9%
0.7%
0.7%
0.6%
蔭影0.4%
投影0.3%
庇陰0.3%
庇護0.2%
庇蔭0.2%
0.2%
0.2%
暗影0.2%
映像0.1%
翳影0.1%
余影0.1%
0.1%
0.1%
幻影0.1%
影陰0.1%
後影0.1%
木蔭0.1%
死蔭0.1%
0.1%
獄壁0.1%
0.1%
蔭場0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分のおすわった師匠がその電気を取りいで、自分に掛けてくれて、そのおかげで自分が生涯ぴりぴりと動いているように思っている。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そらくもくした! うすかげうへを、うみうへう、たちままたあかるくなる、此時このときぼくけつして自分じぶん不幸ふしあはせをとことはおもはなかつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
じいっとみているとこっちの眼のまえがもやもやとかげって来るようでその人の身のまわりにだけかすみがたなびいているようにおもえる
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その時こうのにわとこのかげからりすが五ひきちょろちょろ出てまいりました。そしてホモイの前にぴょこぴょこ頭を下げてもうしました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
はじめは、メディチのヴィナスのように、片手を乳の上に曲げ、他の伸ばしたほうのを、ふさふさとした三角形デルタ陰影かげの上に置いた。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
考えてみれば、今の身があるのも、猿殿のおかげだ。ぜひ一度はめぐり会って、真人間になった自分を見せて上げなければ済まない。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鹿毛かげ連銭葦毛れんせんあしげなどの話のあるところ、黒んぼが駱駝にのつて沙漠をゆくところなど一枚二枚と読んでもう終りにちかい元寇の章まできた。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
この頃では明るい光をみることの方が多くなり、折々は陰翳かげがさしても自分の工夫でそれを拂ひのけることができるやうになつたのである。
盲目 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
もと大きな物置藏のあつた跡の芋畑の一葉一葉にも殘らずその青やかなかげは流れてゐて、芋の葉の廣いのや畑の縁に立ち並んでゐる玉蜀黍たうもろこしの葉の粗く長いのが
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
北側だけに、山腹にはおおく日がかげっていた。そのうすら冷い日蔭に在ってもなおこの花だけはほのかに日の光を宿しているかの様に浮き出でて見えたのであった。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
もう日もかげつた山蔭の溪ばたの風を恐れながらも着物を脱いで石の上に置き、ひつそりと清らかなその湯の中へうち浸つた。一寸立つて手を延ばせば溪の瀬に指が屆くのである。
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
その男は頭から足の先まで蔭影かげにかざされてゐるのだ。ただほんのりと前から光りをうけてはゐるが、レヴコーがちよつとでも前へ出ようものなら、いやでも自分のからだを明るみへ曝さなければならぬ。
梅雨後つゆあがりの勢のよい青草が熱蒸いきれて、真面まともに照りつける日射が、深張の女傘かさ投影かげを、鮮かにつちしるした。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
へえゝ……成程なるほど……これは……あゝ(両手りやうてあはをがみ)有難ありがたぞんじます、南無薬師瑠璃光如来なむやくしるりくわうによらい、お庇陰かげちまして両眼りやうがんともあきらかになりまして、誠に有難ありがたぞんじます……成程なるほどこれは手でございますか。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
つくさして引入ひきいれしすくなからず塞翁さいをうがうまきことして幾歳いくとせすぎし朝日あさひのかげのぼるがごといまさかゑみな松澤まつざは庇護かげなるものから喉元のどもとすぐればわするゝあつ對等たいとう地位ちゐいたればうへこぶうるさくなりてひとりつく/″\あんずるやうけい十町じつちやう
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そもそも最初におのれめがわが対岸むこうへ廻わりし時にも腹は立ちしが、じっとこらえて争わず、普通大体なみたいていのものならばわが庇蔭かげたる身をもって一つ仕事に手を入るるか、打ちたたいても飽かぬ奴と
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
対合むかいあった居附いつきの店の電燈瓦斯がす晃々こうこうとした中に、小僧のかげや、帳場の主人、火鉢の前の女房かみさんなどが、絵草子の裏、硝子がらすの中、中でも鮮麗あざやかなのは、軒に飾った紅入友染べにいりゆうぜんの影に、くっきりとあらわれる。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白き家鴨あひる、五羽ばかり、一列に出でて田の草の間をあさる。行春ゆくはるかげを象徴するもののごとし。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まるで当所あてどなきさすらひ人のやうに、高く雲間に聳えたち、まぶしい陽の光りが絵のやうな青葉のかたまりを赫つと炎え立たせると、その下蔭の葉面はづらには闇夜のやうな暗影かげが落ちて
盾のおもてに映して、はじめて彼は安全に、ゴーゴンの顔の映像かげを見ることが出来るのでした。
コップのつるつるした胴廻りにうつる自分の顔のおかしな映像かげを眺めたりしては
新子の周囲には、愛人らしいものの、翳影かげも落ちていない方が、のぞましかった。こうして、新子の面倒を見ていて、いつかどうしようという野心は、神に誓ってないと前川は自分で思っている。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
しかし、新子の心に、前川の落している翳影かげは、かなり大きかった。新子は、自分の心持を打ちあけ、お互に許し合って、三月前の二人に帰るべく、あまりに複雑した気持になってしまっていた。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
無かった縁にまよいはかぬつもりで、今日に満足して平穏へいおんに日を送っている。ただ往時むかし感情おもいのこした余影かげが太郎坊のたたえる酒の上に時々浮ぶというばかりだ。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御堂の両側は鎌倉時代につぎ足した礼堂になっており、北面は壁、東側は手向山のかげに接しているので、堂内は非常に暗い。西方からの光りだけがわずかに群像を照らし出す。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
九女八は、まだ、素足すあしの引っこみの足どりの幻影かげを、庭の、雨足のなかに追いながら
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
二人はゆっくりと肩から支械チゲ(担具)を取り外すと、それを両手にかかえて西側の傾斜へ影陰かげのように静かに消え失せた。
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
後影かげは確かにわが陸軍の将校士官のうちなるべし。一人は濶大かつだいに一人は細小なるが、打ち連れて物語などして行くさまなり。武男はその一人をどこか見覚えあるように思いぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
木蔭かげのそよかぜ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
そればかりでなく、お互いに顔を見合っているうちに、眼の前が見る見る死蔭かげのように暗くなって来ます。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
Largo や青い雲かげやながれ
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
さみどりの薄羽かげろふ獄壁かげにゐて涼しき風の透るさ夜更く
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
よね おまいがそぎやん云ふなら、そツでかこてしとこう。こんかげにや果物くだもんと菓子ばちつとばつかり入れといたばい。そるから、もう忘れもんななかろね。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
四辺は火事場のそれかのようどこに隠れる蔭場かげもない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その席に要離ようりなる者あって、勇士とは日と戦うにかげを移さず、神鬼と戦うにきびすめぐらさずと聞くに、汝は神に馬を取られ、また片目にまでされて高名らしく吹聴ふいちょうとは片腹痛いと笑うたので
初夏の青いかげさす青鬼灯のやさしい蕾。暗澹たる雷雨の中に朱く熟れた鬼灯の実。夏もすがれ秋はさりげなく蝕まれて残る鬼灯の茎。
小さな庭 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
「手前の後をけて来て、勝手口の方から裏へ廻った奴があるから、月を眺めるような顔をして、縁側から覗くと、戸袋のかげから、刀の小尻こじりが二本」
あしはこたまはゞしのぶがおか緑樹りよくじゆあさつゆ、寐間着ねまきのまゝにもたまふべし、螢名所ほたるめいしよ田畑たばたちかかり、たゞ天王寺てんわうじちかために、はあまりすくなからねど、はらふにかげ十分じふゞんなり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)