かげ)” の例文
自分の舟は比較的岸に近くおり、供舟はやや向うに漕出しているのであろうか、半ばかげった水の上に、供舟の人たちが夕日を浴びているのが見える。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
北側だけに、山腹にはおおく日がかげっていた。そのうすら冷い日蔭に在ってもなおこの花だけはほのかに日の光を宿しているかの様に浮き出でて見えたのであった。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
日がかげって午後になり、折々はフランスの海岸が見えるくらいに澄みわたっていた空気が、再び霧と水蒸気とを含んで来るにつれて、ロリー氏の思いもまた曇って来たようであった。
たまたまに障子にあかる薄陽うすびのいろうれしとは見れどすぐかげりつつ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
秋日ちよとかげりて見せつよき庭を
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
すぐれて美しい顔がかげります。
日はかげ
測量船拾遺 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
一読何となく暑そうな感じがしたために、そう解したまでであるが、作者の意はあるいは日も少しかげった場合で、麻を吹く「風の香」に多少爽涼の気を含ませているのかもわからない。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
照りかげりはげしき時雨日和しぐれびよりかな
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
あの雲のかげり来るべし秋の晴
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)